心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは?
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)についてお話したいと思います。心的外傷後ストレス障害とは、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、心のダメージとなって、時間が経ってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。
震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になると言われています。この心の病に罹ると、突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛、眠れない等といった症状が出てきます。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)でよく見られる症状には、次のようなものがあります。
1.突然、つらい記憶がよみがえる。
2.常に神経が張りつめている。
3.記憶を呼び起こす状況や場面を避ける。
4.感覚が麻痺する。
5.睡眠障害や食欲異常が続く。
誰でも、辛い体験をすれば、眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、PTSDは、それが何ヶ月も続きます。また、PTSDは、ストレスとなった出来事を経験してから、数週間、ときには数年経ってから症状が出ることもあります。こうした辛い症状が続いている時は、積極的に専門機関に相談しましょう。
PTSDは、とても怖い思いをした記憶が心の傷となり、 そのことが何度も思い出されて、恐怖を感じ続ける病気です。PTSDは、命の危険を感じたり、自分ではどうしようもない圧倒的な強い力に支配されたり…といった、強い恐怖感を伴う経験をした人に起きやすい症状です。その怖かった経験の記憶が、心の傷(トラウマ)として残り、様々な症状を引き起こすと言われています。
次に、
怖い経験をした人が、全員PTSDになるのでしょうか? そうとは限りません。同じ事故にあっても、PTSDになる人とならない人がいます。
では、PTSDになる人はこころの弱い人なのでしょうか? 実際には、そんなことはありません。事実、屈強な男性がPTSDに悩まされている例もたくさんあります。どんな人がPTSDになりやすいのかは、ハッキリとはわかっていません。PTSDは、誰がなるかわからない障害であり、言いかえれば、誰にでもなる可能性がある心の病と言えます。
次に、PTSDかもしれないと思ったら、「どこに行けばいいか?」ですが、その体験が犯罪被害の場合は、犯罪被害者の会や支援組織など、多くの相談窓口が用意されていますので、そちらに行かれてみては如何でしょうか? 地震などの大きな天災の時は、救護チームの中にカウンセラーが派遣されることもありますので、そちらを積極的に利用してみてもいいでしょう。
その他、地元の精神保健福祉センターや、精神科や心療内科など、PTSDに知識のある専門医やカウンセラーがいる施設もあります。大切なのは、ひとりで頑張ろうとするのではなく、専門家の力を借りることです。
PTSDの治療は、心の傷の回復と、つらい症状の軽減、2本柱で考えます。
心の傷の回復を助けることと、苦しい症状を軽減することが、PTSD治療の基本です。
心の傷を回復するには、
トラウマとなった出来事をカウンセラーに話すことです。これまで避けていた記憶を呼び起こすことによって、「思い出しても危険はない、怖くはない」ということを肌身を通して、感じ取っていくのです。
今、言った治療は、安心・安全が確保された場所で、訓練されたカウンセラーの許で行う必要があります。「思い出すことが治療につながる」という知識だけで、十分な経験のない人がクライアントに記憶の再体験をうながすと、かえって不安が強まって症状が悪化することにもなりかねませんので、十分に注意したいところです。
他にも、考え方やこだわりを見直して別の視点で物事を考えるように導く認知療法や、眼球を動かしながらトラウマとなった経験を思い出す「眼球運動脱感作療法」や、PTSDの人が数名で自分の悩みを語るグループ療法など、様々な方法があります。これらは、精神医学に詳しいカウンセラーの許で行います。
続いて、
つらい症状を軽減させるために、薬による治療も有効です。眠れない、不安が強い、うつ状態がある、と仰る方には、SSRIをはじめとする抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬を、症状にあわせて使っていきます。これらは、精神科医の許で行います。
私は、この記事をお読みになられた心的外傷後ストレス障害の方が、一刻も早く楽になることを祈っています。というわけで、今日は以上です。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。