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大阪桐蔭、苦しみながらも初戦突破! 今年も甲子園は「近畿大会」?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は旭川大高に苦戦したが、海老根の活躍などで逆転勝ちした(筆者撮影)

 夏の甲子園は5日目に入り、3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭がようやく登場。旭川大高(北北海道)に対し序盤にリードを許す意外な展開も、終盤に地力を発揮し、逆転で初戦突破を果たした。

初戦で苦戦はセンバツと同じ

 大阪桐蔭は、先発の川原嗣貴(3年)が立ち上がりから攻められ、3回までに本塁打などで3失点。攻撃陣は相手投手のキレのいいスライダーを打てなかったが、二巡目から徐々に対応。6回に5番・海老根優大(3年=タイトル写真)の同点アーチで追いつくと、7回には1番・伊藤櫂人(3年)の勝ち越しアーチなどで試合をひっくり返し、6-3で逃げ切った。海老根は「(本塁打で)チームに勢いをつけられた」と胸を張ったが、西谷浩一監督(52)は、「初戦の難しさを痛感した。守備や攻撃でもミスが多く、しっかり練習しなければ」と厳しい表情を崩さなかった。大阪大会が意外なほど楽勝続きだったことを考え合わせれば、初戦でのある程度のもたつきは予想された。反省点が多く、次戦に課題を残した歩みはセンバツと同じ。春はきっちり修正して本来の姿に戻ったが、2回戦ではどんな戦いぶりを見せてくれるだろうか。

智弁和歌山はしんがりでの登場

 大阪桐蔭とともに「横綱格」とされる昨夏王者の智弁和歌山は、しんがりの登場となり、コロナで開会式を欠席した4校と同じ扱いの8日目に初戦が組み込まれた。決勝まで残ると仮定すれば終盤戦に試合が立て込んでしまうが、1回戦の登場が遅かった大阪桐蔭もほぼ同じ条件で、1試合少ない分、大阪桐蔭より有利と言える。特に連日の猛暑を考えると、4勝で優勝した昨年同様、日程運に恵まれたことは間違いない。1回戦を逆転で飾った国学院栃木の勢いは侮れないが、投手陣は昨年よりも計算できる。

初日登場で力出せず敗退した京都国際

 初日の第3試合で、一関学院(岩手)に延長サヨナラ負けを喫した京都国際の敗退は意外だった。エース・森下瑠大(3年)が序盤につかまり、主導権を渡したのが敗因で、8、9回に4点差を追いついた底力はさすがだったが、そこまでが精一杯だった。試合後に小牧憲継監督(39)が、「もう少しいい状態で投げさせたかった」と話したように、ヒジ痛から回復途上だった森下にとっては、初日の登場はツキがなかった。勝てば5日間の休養で2回戦だっただけに、実力を発揮する前に甲子園を去ったのは残念だ。

近江はチーム力で好投手を攻略

 対照的にセンバツ準優勝の近江(滋賀)は、四国王者の鳴門(徳島)をチーム力で圧倒した。立ち上がりこそ味方の拙守に失点したエース・山田陽翔(3年=主将)だったが、ギアを上げると相手打線を寄せ付けない。今大会屈指の左腕と言われた鳴門の冨田遼弥(3年)に対しても、各打者がファウルで粘るなどして球数を投げさせ、中盤にあっさり攻略した。特に、山田の後を打つ横田悟(2年)、石浦暖大(3年)らのしぶとい打撃は見事で、山田の投球も、8回で13奪三振無四球とケチのつけようがない。

天理快勝で、近江と3回戦での対戦も

 天理(奈良)は山梨学院との競り合いを2-1で制した。相手投手の球威と鋭い変化球に手を焼いたが、エース・南澤佑音(3年)が県大会無失点の実力を見せ、関東屈指の強力打線を最終回の1失点でしのいだのが勝因。点差以上の完勝で、甲子園での巧者ぶりを遺憾なく発揮したと言える。中村良二監督(54)は県大会から打順を入れ替えたが、それもしっかり機能していた。1、2番の出塁率が上がれば、得点力も増すだろう。近江と天理は2回戦を突破すれば、8強入りを懸けて3回戦で激突する。

社はエース温存で夏の初勝利

 夏の甲子園初出場の(兵庫)は、コロナ禍で主力選手を欠く県岐阜商を立ち上がりから攻め、10-1で快勝した。相手万全でも五分五分の力関係と見ていたので、エース・芝本琳平(3年)を温存できたのが大きい。打線は、4安打の1番・大西悠斗(3年)を筆頭に上位打者に当たりが出ている。次戦の二松学舎大付(東東京)は投手力がいいので接戦が予想されるが、勢いに乗って序盤から主導権を握り、3回戦で当たる可能性のある大阪桐蔭との直接対決につなげたい。

3回戦で近畿勢のつぶし合いか

 まだ登場していない智弁和歌山の仕上がりが焦点になるが、力量を考えると優勝争いの中心に近いことは間違いない。3回戦で近畿勢同士の対戦が2カード実現する可能性があり、8強を前に少なくとも2校は敗退することになるが、昨年に続き、近畿勢の強さが際立つ序盤戦の印象だ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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