久保建英とは対照的?W杯最終予選メンバーから外された“韓国の至宝”イ・ガンインの今
9月のW杯アジア最終予選2試合に挑む韓国代表メンバー26人が23日に発表されたが、このなかにイ・ガンイン(バレンシア)の名前がなかった。
発表会見でパウロ・ベント監督は、選出しなかった理由について「戦術的、戦略的な理由だ。バランスが取れたメンバーを構成することに集中した」と語り、東京五輪出場による体力的な負担を軽減するためではないことも強調していた。
多少驚きもあったが、これまでのパフォーマンスを考えると、選ばれなかったのは当然の結果とも言えるかもしれない。
イ・ガンインはバレンシアとの契約が2022年夏まで残っているが、今年1月に契約延長の意思がないことをクラブに伝えている。
バレンシアユースから2019年にはトップチームに昇格し、同年のU-20W杯では韓国代表を準優勝に導いた。そんな期待もありながらも、チームは相次いで監督が代わるなどでベンチを温める日が徐々に増えていた。
2020-2021シーズンはラ・リーガで24試合に出場し4アシストを記録しているが、主力には程遠く、存在感は薄れていた。移籍を決意したのは、こうした理由からだが、新シーズンが開幕した今も移籍先が決まっていない。
「移籍市場で久保とイ・ガンインに明暗」
振り返れば、イ・ガンインの代表チームでのパフォーマンスは決して満足いくものではなかった。
ベント監督はこれまでイ・ガンインをAマッチに6試合出場させているが、出場時間が短く、思うような結果を残せていない。
直近の東京五輪でもベンチスタートが多く、本来の実力を発揮できずにベスト8で大会を去った。
総合ニュースサイト「デイリーアン」は「いくら優れた選手でも監督の哲学と合わなければ、排除されるしかない。もちろんベント監督の選択が悪いわけではない。冷静にイ・ガンインが同じポジションの選手たちよりも、技量で上だと見られないからだ。東京五輪でもポジションを勝ち取ることができなかった」と冷静に伝えている。
そんな状況を同じアジア選手で日本代表MF久保建英(マジョルカ)と比較するメディアも見られた。
「マネーS」は「イ・ガンインと久保、克明に分かれる移籍市場の行方」と見出しを打ち、新シーズンの状況を比較。久保はラ・リーガ開幕戦こそ途中出場だったが、第2節ではスタメン起用され、鋭いドリブルとパスワークで存在感を発揮した。
これから始まるカタールW杯アジア最終予選でも日本代表の主力として、スタメン起用の可能性もある。イ・ガンインよりも一歩先を行く状況なのは確かなようだ。
「韓国を10年けん引するエースとして注目されたが…」
ちなみにバレンシアは、夏の移籍市場でイ・ガンインをトレード要因として考えていたようだが、すでに複数クラブのオファーを断ったという現地報道もある。このままベンチを温める日が続き、新たなクラブも決まらなければ、さらに代表でのポジションも遠のく。
「デイリーアン」は「これからの韓国サッカー10年をけん引するエースとして注目されていたが、代表とクラブでの立場の悪い現実はとても寂しいものだ」と嘆いている。
かつて“神童”とも呼ばれ、“韓国の至宝”と言われるイ・ガンインをこのままにしておくにはもったいない。いずれにしても実力と結果で証明していくしか道はないのだが――。