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2019年ドラフトを賑わすJR東日本のスーパートリオ【1】――190cmの153キロ右腕・太田 龍

横尾弘一野球ジャーナリスト
193cmの長身から最速153キロのストレートを投げ込む太田 龍(JR東日本)。

 1週間後には、プロ野球の春季キャンプが始まる。いよいよ2019年のシーズンが幕を開けるわけだが、アマチュア球界では、プロを目指す逸材たちが早くもスタートを切っている。今年は、社会人で高卒3年目にイキのいい投手が揃う。その中でも、強豪・JR東日本の3人からは目が離せない。個性的な金の卵をひとりずつ紹介していこう。

 昨年の都市対抗で、顕著な活躍を見せたニューフェイスに与えられる若獅子賞を手にした太田 龍は、ドラフト指名解禁のシーズンだということを強く意識して臨むという。

「プロを目指してJR東日本へ入社し、1年目に体作り、2年目は実戦登板とステップアップしてきた。3年目はエースと認められる結果を残し、プロの扉を開きたい」

 鹿児島のれいめい高では2年夏から公式戦のマウンドに登り、甲子園には届かなかったものの、190cmから投げ下ろすストレートは最速149キロを叩き出す。全12球団のスカウトがマークしていたが、プロ志望届は提出せずにJR東日本へ。絶好の育成環境に甘えず、コツコツと力をつけてきた。

 体ができ上がり、不安を抱えていた右ヒジにも違和感を覚えなくなったという昨年は、4月の静岡大会から登板し、強気のマウンドさばきで信頼を得ると、都市対抗東京二次予選の第四代表決定戦では2点をリードした7回から救援のマウンドに。勝利を目前にした9回にコントロールを乱し、二死満塁としてしまうが、何とか抑えて胴上げ投手になった。バックを守る野手陣が「足が震えた」という場面も、「抑えられると思っていました」と涼しい顔で語るように、「マウンドでは緊張したことがない」という気持ちの強さもセールスポイントだ。

変化球の精度アップで先発・完投を目指す

 その勢いのまま、東京ドームでは一回戦の先発を任され、西濃運輸の強力打線をひとまわり無失点に抑える。JR西日本との準々決勝でも、先発で5回二死まで2安打無失点。続く準決勝でも二番手で好投を続け、大会を通じて11回1/3を無失点で文句なしの若獅子賞に選出された。そんな活躍で自信を深めつつ、課題は制球力だと受け止めている。

「高校時代は、だいたいストライク・ゾーンに投げておけば打たれませんでしたが、社会人は甘いボールを見逃しても、打ち損じてもくれない。プロの打者はそれ以上ですから、コントロールはもっと磨かなければいけない。手先ではなく、体全体を使って投げるフォームへの修正を目指し、いい感触を得られている。今シーズンのマウンドに立つのが楽しみです」

 昨年までは、最速が153キロまで伸びたストレートに加え、チェンジアップとスプリット・フィンガーを駆使した。

「どちらか、その日の感触がいいほうを投げていましたが、精度が上がってきたので、今年は常に両方を使いたい。それで投球の幅が広げられればと考えています」

 同期の西田光汰、山口裕次郎とは普段から仲がいいという。3人でチームを日本一にしたいという気持ちはあるものの、「そこは他の投手も含めた競争。やるからには負けたくないし、トーナメントの初戦は僕が先発して、できれば完投勝利を挙げたい」と、闘志を前面に出す。実りの秋をどう迎えるかが楽しみだ。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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