英国で「ゼルダの伝説」のマスターソードを所持して実刑に 日本だとどうなる?
英国で興味深い刑事裁判があった。任天堂の人気ゲーム「ゼルダの伝説」で勇者リンクが使うマスターソードのレプリカを町なかで所持したとされる48歳の男性に対し、実刑判決が言い渡されたという。
どのような事案?
報道によると、男性はこのレプリカをインターネットで購入し、6月8日にウォリックシャー州の道路で手に持って歩いていたところを地元警官に発見され、逮捕された。刃渡り約15センチで、鞘に納められていたものの、ボタンを押せば金属製の刃を引き抜くことができるものだった。
ウォリックシャー州のあるイングランドでは、2019年に制定された法律で、短剣や攻撃用の武器になり得る先端が尖ったものなどを公共の場所で所持することが厳しく規制されている。刃物を使った犯罪の増加を受けた措置だ。
男性は他人に脅威を与える可能性があるとしても、手持ち無沙汰を紛らわすための単なる玩具にすぎず、凶器として使うものではなかったと主張した。しかし、裁判所は6月28日、男性に対して禁錮4ヶ月、罰金154ポンド(約3万2千円)の実刑判決を言い渡した。
日本だとどうなる?
「ゼルダの伝説」のマスターソードは魔を封じる力をもつことから「退魔の剣」とも呼ばれる。日本の銃刀法では、職務のためであるなど法定の除外事由がない限り、刃渡り5.5センチ以上の「剣」を所持することが禁止されている。これに違反したら最高で懲役3年、罰金だと50万円以下に処される決まりだ。
それでも、日本の裁判所の量刑相場では、刀剣類1本の所持だけだと、暴力団関係者だとか同種前科があるようなケースでもない限り、たとえ起訴されても英国のように実刑にならず、執行猶予が付されている。
もっとも、今回のマスターソードはレプリカである上、殺傷能力があったか否か、あったとしてもどの程度だったのかまでは不明だ。とはいえ、金属製の「模造刀剣類」も銃刀法の規制対象となっている。業務に必要であるなど正当な理由がある場合を除き、携帯すること自体が禁止されており、違反したら最高で罰金20万円に処される。
「模造刀剣類」といえるには、本物の刀剣類に著しく類似する形態であることに加え、金属製であることが必要だ。コスプレイヤーは、プラスチック製や木製のマスターソードを使う必要がある。ただし、それでも通行人などに不安を覚えさせるような方法で携帯したら条例でNGになる自治体もあるので、注意を要する。(了)
【参考】
今回の事件で問題とされたマスターソードの写真については、「『ゼルダの剣』所持で実刑 おもちゃでも容認せず 英(JIJI.COM)」を参照されたい。