Amazonの新業態は「配達しない」らしい
米ウォールストリート・ジャーナルや米シーネットなどの海外メディアの報道によると、米アマゾン・ドットコムは生鮮食料品の実店舗を開設する計画を立てているという。
野菜、果物、肉などを販売する店舗
この店舗では野菜や果物、肉類、牛乳などを販売するほか、シリアルやピーナッツバターといった日持ちする食料品も扱い、スマートフォンや、店内に設置されるタッチスクリーン装置で即日配達の注文も受けるという。
アマゾンはこの店舗の計画を社内で「Project Como(プロジェクト・コモ)」と呼び、事業開発を進めているという。
同社は米国や英国で会員制の生鮮食料品即日配達サービス「AmazonFresh」を展開しているが、実店舗は当初、このサービスの会員に向けたものになるとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
野菜や果物などの生鮮食品の場合、多くの人は自分で実際に品物を見て、購入するものを選びたいと考えている。また仕事が終わって自宅に帰る途中に買いたいという人も多くおり、新店舗はそうした顧客を狙っているという。
カーブサイドピックアップも計画中
生鮮食品の小売り事業に関して、アマゾンにはもう1つ計画があるとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
それによると、こちらはドライブスルー方式の商品受け取りサービス。ネットで注文した商品が配達されるのを待つのではなく、自ら車で行き、即座に商品を受け取りたいという要望に応えるという。
こうしたサービスは、「カーブサイドピックアップ(curbside pickup)=商品の店先受け取り」と呼ばれ、すでに米小売り大手のウォルマート・ストアーズなどが大規模に展開している。
従来、注文した商品を店舗で受け取る場合、サービスカウンターなど店内の受付場所に行かなければならなかったが、カーブサイドピックアップの場合、店先に止めた顧客の車まで従業員が商品を持ってきてくれる。
アマゾンはこのサービスの待ち時間を短縮するため、ナンバープレートの自動読み取り技術を開発しているという。
アマゾンの事業はまだ伸びる余地あり
ウォールストリート・ジャーナルは、食品の小売り事業はアマゾンの成長にとって極めて重要だと伝えている。
同紙が引用した統計データによると、米国の消費支出額に占める食料品の比率は約20%になる。しかしネット経由の食料品購入金額は、食料品販売額全体の約2%にとどまっているという。
また1世帯が食料品店で1年間に支出する金額は平均5500ドル(約57万円)。これはアマゾンのPrime会員が同社サイトで1年間に使う金額(2500ドル)の2倍以上、Prime非会員が使う金額の約10倍になる。
なお、アマゾンの生鮮食品実店舗計画については、実際に店舗がオープンするのは1年以上先になる可能性があるという。
一方でドライブスルー方式の商品受け取りサービスについては、すでに施設の建設が始まっていることから、早ければ数週間以内に始まる可能性があるとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
(JBpress:2016年10月13日号に掲載/原題「アマゾンが食品小売り事業を強化、生鮮食料品の実店舗を開設する計画」)