日本百名山・伊吹山の土砂崩れは『シカ』が原因|植物を食べ尽くし山が裸地化!
伊吹山は滋賀県米原市に位置する日本百名山の1つで、関西でも屈指の名峰として知られています。
四季を通じて登山者やハイカーに大人気で、山頂周辺にある約350種もの広大な花畑が有名です。ところがそんな名山で、昨年7月と今年7月に土砂崩れが起きました。
驚きなのは、土砂崩れの原因を作ったのは「シカ」だと言う点です。どのような状況が伊吹山に起きているのか、一緒に確認していきましょう。
2024年7月 土砂崩れが3回も発生
今年7月1日に伊吹地区に局地的な大雨が降り、土砂災害が発生。「警戒レベル5 緊急安全確保」が発表され、一時は最大43人の住民が避難を余儀なくされています。
幸いにも人的被害はなかったものの、上記のとおり住宅が被害を受けました。しかも、1日だけでなく15日と25日、合計3回の土砂災害が発生し、2度にわたって被害に見舞われた住宅もあるそうです。
土砂崩れの原因は「シカによる食害」
上記画像は、伊吹山特設サイト「伊吹山植生復元プロジェクト」ページに掲載されている、伊吹山の写真です。
本来なら山全体に緑が生い茂っている状態ですが、多くの個所で緑がなくなり地肌が見える「裸地化」が起きています。
これは、シカが植物を食べ尽くした跡であり緑が失われバランスを崩したことで、大雨が降ると土砂崩れを起こしやすい環境になっているのです。
地球温暖化の影響にて増加する集中豪雨と、約600頭におよぶシカの増加
米原市によると伊吹山の南斜面にあたる地域には、約600頭のシカが生息しているそうです。
暖冬によって、シカが凍死することがなくなり頭数が増加。その結果、多くのシカが伊吹山の高山植物を食べ尽くし、土の保水力がなくなると同時に「裸地化」したことで、豪雨になると土砂が流れやすくなっています。
重ねるハザードマップの航空写真で確認した結果
重ねるハザードマップの航空写真で、伊吹山の状況を確認してみました。
伊吹山の航空写真は、1979~1983年と最新の2世代の写真が存在し、約40年間の差がありますが、最新の写真では特に南斜面で緑がなくなっているのが確認できます。
▼1979~1983年
▼最新写真
ニホンジカの食害は、既に全国各地で起きている
現在、伊吹山で起きているニホンジカの食害は、全国各地で起きています。上記は環境省のパンフレットから抜粋した画像ですが、タイトルは「シカが日本の自然を食べつくす !? 」となっています。
林野庁が公開している「野生鳥獣による森林被害」でも、令和4年度の森林被害面積はシカによる被害が71%を占めています。
これらのことから、シカによる食害は全国に広がっていると言ってよいでしょう。筆者の住む姫路市北部地域でも、シカの食害が大きな問題となっています。
増えすぎたニホンジカの食害をどのように止めるのか、生き物との対峙であるため難しい問題であるのは間違いありません。
こちらから、伊吹山植生復元プロジェクト応援サイトにアクセスできます!