JXB、フロンティアーズが2年ぶり2度目の優勝。MVPはコービー
アメリカンフットボールの社会人年間王者を決めるジャパンXボウルが12月12日に東京ドームで行われ、富士通フロンティアーズが16対3でオービック・シーガルズを破って、2年ぶり2度目の優勝を飾った。
シーズン全勝同士の対決となった今年のジャパンXボウル。勝負を決めたのは、フロンティアーズの強力ディフェンシブ・ライン(DL)とラインバッカー(LB)陣だった。
試合序盤はどちらのチームも決め手に欠け、3本のフィールドゴールを決めたフロンティアーズが9対0とリードして折り返す。フロンティアーズは前半にタッチダウンこそ奪えなかったが、4度の攻撃シリーズでパントを蹴ったのは1度だけで、残りの3回は得点に繋げた。一方のシーガルズは4度の攻撃シリーズでパントが2回、ファンブル1度と良いところが全くないままハーフタイムに突入。
3Q開始と同時に、ようやくシーガルズ攻撃陣が目を覚ました。名門UCLA出身の新外国人クォーターバック(QB)ジェリー・ニューハイゼルに代わって攻撃を率いたQB菅原俊が、自軍26ヤードからの攻撃で、NFLアトランタ・ファルコンズのキャンプに参加した経験を持つWR木下典明にパスを通して前に進む。一度は4ダウンまで追い込まれてパントを選択し。フロンティアーズのラッシャーがパントをブロックしたが、転がったボールは拾ったのはシーガルズのビューティー・ジュニア。敵陣37ヤードまで進むラッキーなプレーで、シーガルズは攻撃権を保持した。
このビッグプレーで試合の流れがフロンティアーズからシーガルズに傾き、ゴール前1ヤードまで迫り、ファースト&ゴールと絶好のチャンスを掴む。
だが、ここで意地を見せたのがフロンティアーズのDLとLBたち。まずは中央突破を狙ってのダイブをLBトラショーン・ニクソンが壁となって止める。続いて、外にいるWR木下にトスするランプレーもフロンティアーズは阻止。オービックの反則もあり、3度の攻撃でゴールラインを割れなかったシーガルズはフィールドゴールで3点を返すのがやっとだった。
MVPにはフロンティアーズのエースQB、コービー・キャメロンが選ばれたが、キャメロンが通したパスは116ヤードのみ。キャメロンのパスを警戒したシーガルズDBとLB陣が良いカバレージを見せたが、パスを意識するあまりキャメロンの前にスペースを開けすぎた。そこを見抜いたキャメロンは、モバイルQBと化して15ヤード以上のロングゲインを3度も獲得。肩ではなく、足と頭脳でチームを牽引した。
だが、真のMVPはやはりフロンティアーズのDLとLBたち。シーガルズのラン攻撃21回をわずか4ヤードに抑える完璧すぎる仕事ぶりが勝利に直結。普段はスポットライトが当たることのないDLの選手たちに、チャンピオンを決める華やかな場でMVPという最高の光を当てても良かったのではと思わされた。