クリスマスが近づいて「浮足立つ」は間違い! 「浮き足立つ」の使い方、知ってますか?
もうすぐクリスマスですね! 街はイルミネーションやクリスマスツリーで彩られワクワクモード。クリスマスソングをBGMに、キラキラと輝いています。
恋人たちはクリスマスデート、子どもたちはサンタさんからのプレゼント。楽しいことが盛りだくさんで、みんな浮足立っているかもしれません。
さて、実は上記の文章に間違いがあること、分かりましたか?
今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、日常でよく使われる言葉の誤用についてご紹介。「浮足立つ」の意味について解説します(構成・文=コティマム)
うれしい時に浮足立つ?
下記の文章をチェックしてみてください。
「もうすぐクリスマスだから浮足立っています!」
「きょうは朝から浮足立っていました。実はある高級料理店に連れて行ってもらえることになったのです!」
うれしくてワクワクしているような場面を表す文章です。どちらも「浮足立つ」を使っているのですが、実は間違っています。なぜでしょうか?
『浮き足立つ』の本来の意味は”恐れ”
多くの人が「浮足立つ」という言葉を、”喜びや期待”を表す際に使うことがありますが、実は間違いなのです。
「浮足立つ」という言葉の正しい意味は、「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」というものです。つまり、「何か良いことがあって浮かれている状態」ではなく、むしろ「心の中で不安や緊張が高まっているときに使う言葉」なのです。
「浮足」という状態が、”かかとが地に着いていない状態・爪先立ち”のことで、「浮足立つ」という形で慣用句に用いられます。
この浮き足状態が逃げ腰のように見えるため、「浮足立つ」は、「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」という意味で使われていました。つまり、「倒産のうわさに社員が浮足立つ」というような、不安や心配、恐怖などに対する文章で使われるものなのです。
デジタル大辞泉では「不安や恐れで落ち着きを失う」という意味がメインに書かれており、「俗語」として浮かれた気持ちに触れています。
文化庁が発表した令和元年度(2019年度)の「国語に関する世論調査」では、「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」という意味で使う人が26.1パーセント、「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」で使う人が60.1パーセントという結果が出ています。つまり、6割以上の人が「浮足立つ」を”喜びや期待”として使っているのです。
ウキウキワクワクは「胸を躍らせる」「胸が高鳴る」
もし、ウキウキワクワクするような状態を他で表すとしたら、「胸を躍らせる」「胸が高鳴る」といった言葉に言い換えができるでしょう(ただし「胸を躍らせる」は不安を表す場合もあり)。他にも「胸をときめかせる」「期待がふくらむ」などもあります。
「浮足立つ」のような誤用は、普段の会話でよく見かけるもので、特にポジティブな感情を表す時に使われがちです。本来の意味を知ると、使う場面を選びますね。とはいえ、言葉は常に変化しているため、今後は”喜びや期待”の意味の「浮足立つ」が主流になっていくのかもしれません。
ちなみに、『関わらず』という言葉も間違えられやすい言葉です。詳しくはこちらの記事をご覧ください:『関わらず』って書いていませんか? 実は、間違いです!【記者的言葉解説】
今後も記者目線で、「ちょ~っとだけタメになる(?)」言葉解説をつづっていきます。