流行語大賞トップ10入りのワード”界隈” 推し活から広がる”界隈消費”って何?【ME:Iも登場!】
2024年の「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」(以下、流行語大賞)では、テレビドラマ『不適切にもほどがある!』を略した『ふてほど』が年間大賞に選ばれました。
毎年、”その年に話題になった言葉”に贈られる流行語大賞ですが、発表時にはノミネートされた30の言葉の中から、トップ10までが発表されます。
2024年のトップ10入りした言葉のひとつが、「界隈(かいわい)」。もともとは「そのあたり一帯」を示す言葉ですが、SNSを中心に”特定の仲間や近い存在”という意味でも使われるようになりました。”お風呂に入ることを面倒に感じてやめる人々”を指す「風呂キャンセル界隈」という言葉がXで一時トレンド入りするなど、注目を集めたワードとなっています。
さて、そんな”界隈”が消費にも影響を与えていることをご存知ですか?
今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、ヘアケアブランド『+t m r(プラストゥモロー)』を手がける株式会社ファイントゥデイのトークイベントを取材。”界隈消費”や”推し活”というワードが影響する消費行動についてご紹介します(取材・文=コティマム)
Z世代に人気のアイドルグループ・ME:Iとコラボしたヘアケアブランド『+t m r』
『+t m r(プラストゥモロー)』は、『TSUBAKI』や『fino』、『uno』といった資生堂の日用品ブランドを手掛けるファイントゥモローの初となるオリジナルヘアケアブランド。髪の80%以上がタンパク質で構成されていることから、「タンパク質にはタンパク質に着目したケアを」という、シンプルで“本質”をとらえた処方が特徴です。吉兆のサインとされる”彩雲”をブランドデザインに掲げています。
24年11月からは、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』で誕生したアイドルグループ・ME:I(ミーアイ)とコラボレーションし、オリジナル楽曲『Tomorrow』の発表やコラボデザインボトルの販売を行っています。
さらに12月18日から12月22日まで、東京・渋谷区のRand表参道で『Tomorrow』にのせたコンセプトムービーの世界を体感できる期間限定のPOP-UPイベント『tmr playland(トゥモロープレイランド)』も開催中です。『tmr playland』内は彩雲をイメージしたデザインになっています。
『Tomorrow』はXでのトレンド入りやさまざまな音楽チャートにランクイン。コンセプトムービーは『+t m r』の公式YouTubeやSNSで約1週間で35万回再生超えを記録しています。Z世代に人気のME:Iを起用したことで、『+t m r』の認知度も上がったようです。
コラボデザインボトルの販売や『tmr playland』のオープンに先駆けて行われた発表会では、ME:Iのトークセッションや『Tomorrow』のパフォーマンスが行われました。楽曲に「髪をなびかせたら」という歌詞が入っていることから、“髪をなびかせたらダンス”を披露しました。
続いて行われたトークイベントでは、ファイントゥデイのブランドPRマネージャーの赤阪裕実さんと、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント・マーケティング部所属で、『SHIBUYA109 lab.』の所長を務める長田麻衣さんが、「“オシノミクス” “界隈消費” 本質思考のZ世代から生まれる新たな消費行動」というテーマでトークショーを実施しました。
長田さんによると、2024年に流行語トップ10入りした「界隈」とは、「共通のテイストや趣味、カルチャー、好きな世界観を軸にした緩いコミュニティ」のことで、2022年頃から若い世代で使われていたといいます。「風呂キャンセル界隈」以外にも、「量産界隈」「カフェ巡り界隈」「K-POP界隈」「ゲーマー界隈」「淡色界隈」「美容界隈」といった、さまざまな界隈があるとのこと。
緩く繫がるコミュニティの中でも、「コロナ前は”浅く広い関係”を求めていたものが、コロナ禍以降は”深く狭いコミュニティ”が確立されるようになり、コミュニティの形成の仕方も変化している」といいます。
”界隈”の特徴は”中心人物やリーダー”がいないこと。長田さんによると、「”界隈”はフラットで上下関係もなく、明確な境界線もない」といい、「中心人物やリーダーはいませんが、”界隈”に対する理解やリスペクトがないことは嫌がります」と性質を説明。「この”界隈”内で熱量高く消費が行われ、『この商品いいよ』と”界隈”の中でオススメすることもあれば、他の”界隈”で話題になった商品が別の”界隈”や外へ伝播していくこともあります」と、”界隈”が消費につながっていると語りました。また、この”界隈”にも通じるのが、自分の好きな人物やグループ、キャラクターなどを応援する”推し活”です。
「今の若者の消費の実態を見てみると、基本的には受け身です。(SNSなどで)何もしなくても情報が入って来くるので、そこから選ぶことができます。ただ、”推し”だけは経済効果があり、能動的に積極的に消費します。『どうやったら”推し”に還元できるか』『”推し”に会うからキレイにしなきゃ』と、スキンケアやヘアスタイルにも気を遣います。『”推し”(のグッズなど)を連れて行きたい』と旅行をしたり、『”推し”の名前を商品に入れよう』とカスタマイズします。(消費者も)”推し”の応援を通して自分の成長を感じるので、”推し活”は消費を加速させています」(長田さん)
こうした”推し活”や”界隈”発による”界隈消費”によって、本来のターゲット層とは違うファンが商品やサービスに注目するようになるといいます。そのため、企業は違う”界隈”とコラボすることで新たなファンに知ってもらう入り口を作ることができるのです。
ME:Iを輩出した『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』は、視聴者が国民プロデューサーとなって”推し”を選び、応援していく番組。”推し”の投票によって決定したメンバーがデビューしているため、究極の”推し活”ともいえます。”推し活”から生まれZ世代に人気のME:Iとコラボした『+t m r』も、その反響があったといいます。
ファイントゥデイの赤阪さんは、「ファンの方から『ME:Iを起用していただきありがとうございます』という投稿がたくさんあり、違う意味で『+t m r』を知ってもらうきっかけになりました」と振り返ります。さらに、『+t m r』やME:Iをモチーフにしたイラストや漫画などの二次創作投稿も多く見かけたといい、「それぞれが特技をいかして、“緩い繫がり”の中でどんどん“沼って”いき、コラボレーションを楽しんでくれています」と、”推し活”や”界隈”の反響が大きかったそうです。
また「“界隈”だけでなく、消費の行動は伝播していきます」と語り、「昔は『若者と年齢を重ねた人は別』という雰囲気がありましたが、今はそうではなくなっています。『+t m r』も10代〜50代、60代まで幅広い世代の方々に受け入れてもらっています。コアは20代30代ですが、親子で使われている方もいます」と、消費が伝播している実感があるといいます。
流行語トップ10にも入った「界隈」。そしてそこから繫がる消費。今回の『+t m r』とME:Iのコラボからも分かるように、”推し活”や”界隈消費”に目をつけることで、商品やサービスの展開もさらに大きく広がっていくのかもしれません。
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