この冬は結局、暖冬だったのか?寒冬だったのか?
この冬も終盤を迎えています。11月にいきなり関東で雪が積もり、1月には「最強寒波」が叫ばれたこの冬、結果はどうだったのでしょうか?
暖冬ときどき寒波
気象庁の区分では、12月~2月が「冬」とされます。ここ3か月間の気温は、上図の通り、全国的に平年より高く、結果は暖冬傾向だったということになります。
ただし、そう単純ではありません。
「冬」の期間外とはいえ、11月下旬には関東で雪が降るなど低温となりましたし、1月なかばからは、たびたび寒波がやってきて、日本海側など大雪となったところもありました。
それらの時期の印象が強い人は、「暖冬」と言われてもピンと来ないのではないでしょうか。
長居しなかった寒波
ただ、1月に「最強寒波」と呼ばれた寒波も、シーズン単位で見ると一時的なもので、暖冬傾向を覆すほどではありませんでした。
豪雪や低温になるような冬は、日本付近の上空で偏西風が大きく蛇行して、寒気が流れ込みやすくなり、それが継続するということがあります。
そういった年に比べると、今冬の偏西風の流れはあっさりしていて、いったん日本付近に寒気が流れ込むように蛇行しても長続きしませんでした。
ちなみに、この最強寒波。“観測史上最強”の寒波なら誤解が少なくて良いのですが、たいていは“今シーズン最強”の寒波です。何でもかんでも「最強」がつき、「最強」のバーゲンセールになっている近頃の寒波。また来シーズンも「最強寒波」がやってきます。
ひとくくりの季節予報はナンセンス
毎年、「この冬は暖冬?寒い?」などと予報を聞かれますが、ひとことで片付けられる年はなかなかありません。
今冬のように、暖冬傾向であっても、寒波がやってくる時期があるわけです。
ずっと高温とか、ずっと低温とか、シーズン中、同じ状況が続くほうが異常なわけで、普通は山あり谷ありの気温変化をします。
ですから、「暖冬」であっても寒波への備えは必要ですし、「寒冬」であっても春を思わせる暖かな日があります。「暖冬」「寒冬」といった、ひとくくりの予報は、現実の天候に即さないわけです。
情報の伝え手も受け手も、ひとくくりの季節予報は、そろそろ卒業して良い頃ではないでしょうか。