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この冬は結局、暖冬だったのか?寒冬だったのか?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2月26日まで3か月間の平均気温の平年差。(気象庁HPより)

この冬も終盤を迎えています。11月にいきなり関東で雪が積もり、1月には「最強寒波」が叫ばれたこの冬、結果はどうだったのでしょうか?

暖冬ときどき寒波

今冬の平均気温平年差。赤が平年より高く、青が低い期間。(気象庁HPより)
今冬の平均気温平年差。赤が平年より高く、青が低い期間。(気象庁HPより)

気象庁の区分では、12月~2月が「冬」とされます。ここ3か月間の気温は、上図の通り、全国的に平年より高く、結果は暖冬傾向だったということになります。

ただし、そう単純ではありません。

「冬」の期間外とはいえ、11月下旬には関東で雪が降るなど低温となりましたし、1月なかばからは、たびたび寒波がやってきて、日本海側など大雪となったところもありました。

それらの時期の印象が強い人は、「暖冬」と言われてもピンと来ないのではないでしょうか。

長居しなかった寒波

ただ、1月に「最強寒波」と呼ばれた寒波も、シーズン単位で見ると一時的なもので、暖冬傾向を覆すほどではありませんでした。

豪雪や低温になるような冬は、日本付近の上空で偏西風が大きく蛇行して、寒気が流れ込みやすくなり、それが継続するということがあります。

そういった年に比べると、今冬の偏西風の流れはあっさりしていて、いったん日本付近に寒気が流れ込むように蛇行しても長続きしませんでした。

ちなみに、この最強寒波。“観測史上最強”の寒波なら誤解が少なくて良いのですが、たいていは“今シーズン最強”の寒波です。何でもかんでも「最強」がつき、「最強」のバーゲンセールになっている近頃の寒波。また来シーズンも「最強寒波」がやってきます。

ひとくくりの季節予報はナンセンス

毎年、「この冬は暖冬?寒い?」などと予報を聞かれますが、ひとことで片付けられる年はなかなかありません。

今冬のように、暖冬傾向であっても、寒波がやってくる時期があるわけです。

ずっと高温とか、ずっと低温とか、シーズン中、同じ状況が続くほうが異常なわけで、普通は山あり谷ありの気温変化をします。

ですから、「暖冬」であっても寒波への備えは必要ですし、「寒冬」であっても春を思わせる暖かな日があります。「暖冬」「寒冬」といった、ひとくくりの予報は、現実の天候に即さないわけです。

情報の伝え手も受け手も、ひとくくりの季節予報は、そろそろ卒業して良い頃ではないでしょうか。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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