阪神タイガースの契約更改《11/28・後編》自分の居場所へ戻る!原口選手と北條選手
阪神タイガースの契約更改・第6弾は11月28日、小野泰己投手(23)、大山悠輔選手(22)、石崎剛投手(27)、北條史也選手(23)、原口文仁選手(25)の順に交渉を行い、全員がサインをしました。そのうち小野投手、大山選手、石崎投手の話は、こちらでご覧ください。→<11/28・前篇 アップしたルーキーコンビと石崎投手>
きょうは《後編》の北條選手と原口選手です。昨年、大幅にアップ査定を勝ち取った2人が残念ながら揃ってダウン。北條選手は自身の居場所を奪回して、原口選手は捕手再挑戦で、ともに来年の巻き返しを誓いました。ではテレビインタビューと、記者による囲み取材のコメントをご紹介します。いつものように2200→2000は今季→来季の年俸(単位は万円)、金額は推定です。
弱さを克服して“奪い返す”
【北條史也選手】5年目 2200→2000
★1軍 83試合 219打数46安打20打点 打率.210
本塁打3 三振42 四球23 盗塁0 犠打7
※守備はショート71試合(失策8)
★ファーム 26試合 100打数23安打9打点 打率.230
本塁打1 三振14 四球10 盗塁0 犠打0
《テレビインタビュー》
サインはされましたか?「はい、しました」。アップ、ダウン、現状維持のどれですか?「少し下げてもらいました」。下げてもらった、というのは…もとはダウンじゃなかった?「いえ、ダウンでした。すみません」(単なる言い間違いで志願してのダウンではないようです)。そのあたりは納得してのサインでしたか?「はい、納得です」
球団からの評価は?「ファームに2回落ちているというのもありましたし、1回上がったところで、そのまま最後まで行ってくれると思ったと言われましたけど、まあ僕の実力不足でまた落ちた、そういうところでした」。開幕スタメンで始まった今季、振り返ると。「厳しいシーズンだったなと自分で思います。開幕からチャンスをもらって、でも自分の実力がなかったので他の選手に取られて…。来年しっかり奪えるように頑張ります」
奪うために必要なことや課題は?「打つ方もそうですし、守備も。二遊間を守っている以上、やっぱり守備は一番と思ってやっていこうと」。球団から来季への期待の言葉は?「去年は出させてもらったので来年はしっかりやってくれと、期待しているよと言われました」
オフの自主トレのプランは?「秋季キャンプで、打つ方を監督やコーチから教えてもらったので、それを忘れないように。このオフはしっかり振り込んでいこうと思っています」。今回もヤクルトの山田哲人選手らと一緒に?「はい、そうですね。また来年もやらせてもらいます」
来季の目標を。「個人的な目標は、しっかり1年間通して1軍選手として、またレギュラーとして試合に出られるように頑張ります」
《囲み取材》
納得のダウンということ?「チームに貢献できていないですし、自分でも不甲斐ない成績だと思っているので、納得しました」。二遊間にまた新しい戦力も加わりますが、北條選手は“どこで”勝負を?「守備から。二遊間はやっぱり守備が一番だと思っていますし。打つ方も目標を高く持ってやっていきたいです」
ことし物足りなかった部分を1つ挙げるとすれば、打つこと?それとも守備?「1つじゃ無理ですね。2つ。守りと打つ方です」。それは去年と比べて、というところもある?「それもそうですし。去年は少しのミスを監督も許してくれた部分もあるので。ことしは、そんなミスをしていたら他の選手に言われると思いましたし。そこで自分の弱さが出たかなと思います」
再昇格した際は、13試合連続安打も。「そこで最後まで行けなかったっていうのが自分の実力です」。“奪う”という言葉があったように、勝負をしていく?「みんなそう思っているだろうし、みんなより上を目指そうとしたら気持ちの面でも上回らないと無理かなと思うので」
秋季キャンプで監督やコーチからバッティングの指導を受け、春先のいい感覚が戻ってきた感じ?「またちょっと別ですね、また違う。春は“これでいける”っていう気持ちもどこかにあって、それがやっぱり甘いかなと思いました。今はもっと完璧にできるようにと思ってやっています」
アベレージを求める?「そうですね。右方向に強い打球ってのも、ことしは全然できなかったので。それは課題としてコースなりにしっかり打ち分けられるように、それも強い打球で打てるように。そう思います」
ことし開幕前はホームラン15本を1つの目標に掲げていましたが、来年は数字というよりひたすらガムシャラに?「15本って言ってダメだったんで、しっかりアベレージを残して。その確率が上がると長打も増えてくるでしょうし。まずは確率を上げていこうと思います」
この会見時にまだ動きはなかった大和選手ですけど、けさ『DeNAへ移籍か』というニュースが飛び込んできました。それによって北條選手にかかる期待の形や大きさも変わってくるでしょう。
自分の言葉に責任を持ってやる
【原口文仁選手】8年目 2200→2000
★1軍 73試合 186打数42安打25打点 打率.226
本塁打6 三振36 四球22 盗塁0 犠打1
※守備はファースト53試合(失策4)
★ファーム 4試合 15打数7安打6打点 打率.467
本塁打2 三振2 四球0 ※ファースト4試合
《テレビインタビュー》
サインはされましたか?「はい、しました」。アップ、ダウン、現状維持のどれですか?「もちろん、ダウンです」。納得した上でのサイン?「そうですね。ほんと成績が物語っているように、もうダウンそのものだと思います」。球団から今季についての話は?「まあ、そうですね。苦しかったね、と。僕もそう思っているんで」。原口選手の方からは何か。「いや特にないですね。切り替えて、来年頑張りますと伝えました」
ことしを振り返って。「1年間1軍にいられなかったことが残念というか、悔しかったなと思います」。1年通して1軍にいるため、何が必要だと?「やっぱり安定した守備、安定したバッティング。安定感がすごく大事だなと。ことし波が激しかったので、不調になった時にどう戻せるか。そういうとこだと思います」
来季はどのポジションで勝負したいか、改めて。「キャッチャーで、ということを僕も直訴したので、その言葉に責任を持ってやりたいと思います」。ことしもキャッチャーをやりたいという思いはあった?「その思いは自分の中でも出さないように。今、任されているポジションで結果を出すっていうことに集中してやっていました」
でも、やっぱりキャッチャーだと。「そうですね、はい」。そこでレギュラーを取るために取り組むことは?「動きのキレだったり、フットワーク。そういうところで追いついて、追い越せるようにしたいと思っています」。自分で“強み”だと思うところは?「そうですね、まあ、強みっていう強みは特にないですけど。その強みをつけられるようなシーズンにしたい」
来年の目標を。「今のところ数字は見えてこないんですけど、何とかキャッチャーで競争の中に割って入れるようオフシーズンにしっかり準備をして。キャンプ初日からアピールしていきたいと思います」
《囲み取材》
下がり幅はどれくらい?「この成績を見てもらえれば、だいたいわかると思います」。数字を挙げたりして探るも「頑張ってください」と笑顔で返されて断念。シーズン前半には試合を決めるバッティングもあったけど、そのへんの評価は?「うーん、どうですかね。そこまで…かなと思いました。トータルで見て、打率や安打数が重要なのかなと」
捕手業から離れていた分の、相手チームの分析などはまたやり直す?「そうですね。それも準備に入ってくると思うので。いい準備をしていきたいです」。ファーストから見て気づけたこともあった?「そういうのも感じながらやっていたので、キャッチャーとしてゲームに出ていく中で生かせたら」
秋季キャンプでキャッチャーをやって手応えは?「前半2クールくらいは、まったく思うようにいかなくて。体のキレや動きがなかなかついてこなかったんですけど、3クールか4クールあたりから、一歩目のスタートだったりブルペンでのキャッチングだったり、スチール防止の練習だったり、少し感覚がつかめてきたので、このオフにつながるかなと思いました」
オフもキャッチャーの練習を?「もちろん、やれることはどんどん入れていきたい」。秋季キャンプではバッティングもアピールできたのでは?「最後の方は実戦がなかなかなかったので、やっていたことを試せなかったんですけど。バッティング練習やティーバッティングの中では、また新しい感覚が出始めているので、いま継続してやっているところです」
山田バッテリーコーチが、来年のキャッチャーは横一線と。「横一線と言われていますけど、僕はまだまだそこに追いついていないと思うので、このオフしっかり練習して、2月1日の時点でそこに着けるようにやっていきたい」
CSをテレビで見ていた悔しさはある?「そうですね、やっぱりありますね。ケガをしたってのが一番悪いところなので。そういう悔しさも持ちながら、しっかりやりたいと思います」。最後まで?「はい!」
会見の質疑応答は以上です。引き続き、原口選手の話を少しご紹介します。
再び挑む「最高のポジション」
『原口、捕手再挑戦!』という大きな文字がスポーツ紙に踊っていたのは、秋季キャンプへの移動日だった11月1日のこと。本人も記事にはビックリしつつ、でも嬉しそうでした。「来年はキャッチャーでいきたい」という思いを伝えたのは、フェニックスリーグで宮崎にいた時のようですね。
3年ぶりの参加となったフェニックスリーグに、原口選手は「打率.360、本塁打3、打点18」というノルマを課して臨みました。結果は、練習試合を含む12試合で34打数13安打7打点、打率.382、本塁打3(うち1本は練習試合)、二塁打2本。打率に関しては、本人いわく「リーグ戦18試合で2安打ずつの計算」です。試合数が減ったので打点は届かなかったものの、納得できる数字ではないでしょうか。
8月下旬にファームへ来て、名古屋遠征中に左わき腹を痛めて離脱。リハビリを終えて試合復帰したのは10月5日でした。同9日から始まったフェニックスリーグだったので「もっとダメかと思ったけど想像していたよりできた。秋季キャンプからオフへといい課題を持って入っていける」と笑顔も。課題については多くを語らなかったものの、自分の中でしっかり何かがある様子でした。
契約更改後の会見でも言っていた「動きのキレやフットワーク」のために、今は「余分なものを削ぎ落とした体」を作っているところです。秋季キャンプの間に体重を5キロ減らしていて、まださらにマイナス5キロが目標だとか。顔の輪郭もだいぶ変わってきていますね。
ことし1月の自主トレ中、なぜキャッチャーにこだわるのかと尋ねたとき「だって、やったらやっただけ返ってくるんですよ。最高のポジションだと思いませんか?」と答えた原口選手。来年は、試合終了時にピッチャーと手を合わせてベンチへ向かう姿が、たくさん見られることを期待しましょう。そして、それが秋まで続きますように。
<掲載写真は筆者撮影>