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パソコンとスマホで大きく異なる子供達のネットとの接し方

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供達も夢中なスマートフォン。パソコンとの利用の違いは

パソコンは情報検索、スマホはさまざまなエンタメ

スマートフォンもパソコンも、今ではインターネットにアクセスするための窓口であり、できることの違いが存在そのものの差異となっている。子供達はそれぞれをどのように使いこなしているのだろうか。内閣府が2016年3月に確定報を発表した「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」」(満10歳から満17歳までの青少年対象)の結果を基に確認していく。

次に示すのはデスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、その端末による利用内容を示したもの。普段からその目的で利用していると認識した項目に答えてもらっている。「コミュニケーション」とは電子メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアなど、他人との意思疎通ができるサービス全般を指す。

↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、小中高校生全体・該当機種でネット利用者限定、2015年)
↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、小中高校生全体・該当機種でネット利用者限定、2015年)

パソコンではデスクトップやノートのような形状による違いはあまり生じておらず、従来型携帯電話・スマートフォンとは大きく使われ方が異なる状況が確認できる。また従来型とスマートフォンでは差異が大きな項目ばかりで、機種の性能による利用目的の違いが明確化している。ほぼ同数なのはコミュニケーションぐらい。

パソコンでは情報検索や動画視聴がメイン、ゲームなどがほとんど。コミュニケーションやニュースなどはあまり行われていない。一方で従来型携帯電話はコミュニケーションがほとんどで、他項目は押し並べて低め。機能そのものがスマートフォンと比べて低く限定されており、現在のサービスがあまり対応していないことから、子供達の間では電子メールなどのコミュニケーションに限ったツールとして使われている実情が分かる。

スマートフォンはコミュニケーションをはじめ、ゲームや動画・音楽視聴、情報検索など利用方法は多種多様。ニュースの取得や地図・ナビゲーションの活用面でも大いに利用されている。さらに電子書籍も15.5%と高めな値が出ているのは注目に値する。

これを全体比で算出したのが次のグラフ。上記が「その端末でインターネットを利用する人における利用性向」であるのに対し、これは全体に占める割合。それぞれその端末でインターネットを利用する人の割合から逆算しており、例えばスマートフォンではコミュニケーションの項目は38.5%とあるので、小中高校生全体の4割近くは、スマートフォンでコミュニケーションをしている形となる。子供達の実態を全体的に見る時に役立つ値といえる。

↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、小中高校生全体、2015年)
↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、小中高校生全体、2015年)

コミュニケーション以外でも3割強がゲームや動画・音楽視聴、情報検索をスマートフォンで実施している。「小中高校生全体の3割から4割は、スマートフォンを使って情報のやり取りをしたり検索したり、動画や音楽を楽しんだり、さらにはゲームをしている」との現状は、数年前には到底想像も出来なかったに違いない。また2割近くがスマートフォンで地図・ナビゲーションを活用したり、ニュースを取得している。ノートパソコンによる利用状況も動画視聴や情報検索などでそれなりの値が出ているが、スマートフォンの利用状況の前にはかすんでしまう。

高校生限定で再確認

今件を高校生に限定して確認したのが次のグラフ。まずは各端末でインターネットを利用している人限定による値。

↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、高校生全体・該当機種でネット利用者限定、2015年)
↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、高校生全体・該当機種でネット利用者限定、2015年)

小中高校生全体と比べ、各項目の回答率が高く、それぞれの機種を使いこなしているのが分かる。自分自身の端末を所有していたり、保護者から許諾された事例も多いことが予想されるが、特にパソコンで情報検索や動画視聴、ニュースの取得など積極的なアクセスが求められる項目で、パソコンの利用率の高さが確認できる。ただしゲームの項目は低めで、パソコンのゲームへの興味は高校生では鎮静化しているようだ。

これを高校生全体比で見たのが次のグラフ。元々スマートフォンの所有率は高く、パソコンは低めなため、当然全体比ではスマートフォンの値が高く出ることになる。端末自身を利用していない、利用していてもインターネットへアクセスしていなければ、「該当端末を用いてインターネットで何をしているか」の設問では回答のしようが無い。

↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、高校生全体、2015年)
↑ インターネットで何をしているか(該当機種で、高校生全体、2015年)

高校生全体の8割強はスマートフォンでコミュニケーションを取り合い、7割強は音楽や動画視聴をし、6割強はゲームや情報検索をし、1/3はニュースの取得をしている。電子書籍の閲読やショッピングも2割近くが実施している。パソコンは精々情報検索で2割、動画視聴で2割近く程度。そのまま社会人となり、あるいは大学に進学する、成人間近な高校生たちが、少なくとも現状ではこのような状況にあることを、再認識させられる次第ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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