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フェイスブック情報流出8700万人、今すぐに学ぶべき『アプリ』設定は【自分のみ】

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
4月11日、米下院公聴会で証人喚問する予定のザッカーバーグCEO(写真:ロイター/アフロ)

KNNポール神田です!

交流サイト(SNS)最大手フェイスブック(Facebook)は(2018年4月)4日、英政治コンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)によって情報を不正取得された利用者は最大で8700万人に上ると明らかにした。これは当初推定の5000万人をはるかに上回る。

出典:FB利用者情報流出、8700万人規模に 当初推定から大幅増

漏洩情報は、当初の推定5,000万人から3,700万人拡大し、8,700万人規模に及んだ。しかもその大半が米国でのFacebook利用者であり、2016年米大統領選に活用された可能性がある。この選挙によってトランプ大統領が誕生する。何よりも、SNSの中でも、リアルな本人の情報がヒモづけされているFacebookの情報漏洩は利用度がものすごく高い。詳細な個人情報から住居、地域、関心、知人、ネットワークの広さまで利用される。Facebookに情報を提供すればするほど情報の利用度と価値は高まっている。

米Yahoo社の30億アカウント流出よりも、価値の高いFacebookの個人情報

2013年8月の米Yahoo社の30億アカウント流出は衝撃を与えたが、30億件はのべ合計数のアカウントであり、静的なアドレスや電話番号、生年月日、パスワードである。一方、Facebookの情報漏洩の要因は、そのほとんどが『アプリ』経由である。『占いアプリ』や『心理アプリ』『クイズアプリ』などがあり、そのアプリを利用したいと思った人が、自ら望んで、そのアプリを登録し、利用し、自分の個人情報のみならず、友達リストなどを明け渡してしまうところに問題がある。あなたの友達に一人でも「不注意なFacebookの友達」がいるだけで、あなたの個人情報も漏洩してしまい、さらに自分の友達のリストも危険にさらされるのがFacebookの最大の怖さなのである。

情報流出の原因はFacebook『アプリ』

ケンブリッジ大学の心理学の研究者がフェイスブックのルールに従いユーザーの同意を得たうえでフェイスブック専用の性格診断のクイズアプリを使った調査を実施した。27万人がダウンロードした

出典:フェイスブック 情報流出は性格診断アプリから

その27万人の「友達リスト」は、推定5000万から8700万人への情報漏えいへと拡大したのだ。

米Yahoo社の30億件ものリストは、インターネット黎明期の頃からの登録などに利用された使い回しの個人情報である可能性が高く、すでに劣化している個人情報や無料メールのアドレスなどであった。反対に、Facebookアプリは、『アプリ』自身に関心を示し、実際に利用されている生きている本人情報、さらにその友達のリスト等が、Facebook社ではない、まったく第三者のFacebookアプリ開発社に提供されている。そのFacebookポリシーと仕様が最も怖いのだ。

Facebookのサイトにも『アプリ』が明確に公開情報を利用することが明記されている。

アプリをインストールすると、アプリに公開プロフィールにアクセスする許可を与えることになります。これには名前、プロフィール写真、ユーザーネーム、ユーザーID(アカウント番号)、ネットワークなど、公開を許可した情報がすべて含まれます。また、パーソナライズされた利用環境を提供するための他の情報(友達リスト、性別、年齢層、地域など)もアプリに提供されます。

出典:アプリに個人情報へのアクセス権が必要なのはなぜですか。

Facebook『アプリ』を知らず知らずにインストールすると、このような情報がアプリ開発社に渡ってしまっていることを必ず理解しておきたい。そしてほとんどのFacebookユーザーが、それを知らないで、承認してしまっている。

Facebook『アプリ』の表示範囲と投稿の共有範囲は『自分のみ』にする

当然、Facebookの『アプリ』は普段意識することがないが、だまされたと思って、必ずFacebookの【設定】をこの機会にチェックしておきたい。そして記憶のない、使っていないような『アプリ』は、今すぐに削除すべきだ。特に、『占い系アプリ』『診断系アプリ』などだ。一度使ったら、ずっと居残り続けている。

Facebook『アプリ』は、『Facebookログイン』などで他のウェブサービスなどのIDとパスワードにも利用されているが、あなたの属性が利用されないように、利用制限を必ず『自分のみ』にして、万一の時にも「友達」に迷惑をおよばないようにこころがけておきたい。設定方法は下記のとおりだ。

モバイルOSでは…

【1】【三】マークをタップし、最下部の【設定】を選択。

【三】>【設定】
【三】>【設定】

【2】【アカウント設定】

【アカウント設定】
【アカウント設定】

【3】最下部の【アプリ】をタップ

【4】アプリとウェブサイト

【5】【表示】>【アプリの共有範囲】>【自分のみ】

【表示】
【表示】

PCブラウザでは…

【逆▲マーク】をクリック、右のカラムの【アプリ】を選択

アプリ設定 出典:Facebook
アプリ設定 出典:Facebook

画面右上の【逆▲マーク】

アプリやゲームのプライバシーや設定を編集
アプリやゲームのプライバシーや設定を編集

https://www.facebook.com/help/218345114850283?helpref=about_content

各アプリに教えている自分の情報を知ろう
各アプリに教えている自分の情報を知ろう

個々のFacebook『アプリ』には膨大なあなたのプロフィールや友達リスト投稿、近況が利用される。アプリの共有範囲を【自分のみ】にしておくことは必須の防衛手段だ。

Facebook『アプリ』を定期的に見直し、チェックすることによって、自分の情報を守ると同時に【友達リスト】を公開しないですむ。万一の情報漏洩に対しても、これで防御することができる。

まずは、見知らぬあやしいFacebook『アプリ』は、必ず自分で定期的にチェックし、削除しておくことが一番重要である。そして、Facebookに必要以上の個人情報を与えすぎないことも、これからの時代には重要なリテラシーでもある。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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