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福岡では何より「“博多らしい”濃い豚骨ラーメン」が食べたいでしょ。余韻まで口福の特濃味

上村敏行ラーメンライター
分厚い炙りチャーシューもインパクト大。「麺屋たいそん」の「特製濃厚豚骨」

バリうま!なのはもちろんのこと、しっかりとパンチの効いた豚骨ラーメンであり、食後の余韻で「ふぅ、博多らしいラーメンを食べた」と口福に包まれる一杯。福岡に観光、出張で訪れた方が真っ先に求めるのはもちろんこの博多らしさであろうが、博多駅前と春日市に店を構える「麺屋たいそん」は、筆者自身も来福客を連れていく“間違いない店”として重宝している。どっしり感のある豚骨は本当に頼もしい。

店主の松尾亮太さんは「博多新風」で修業した経歴がある
店主の松尾亮太さんは「博多新風」で修業した経歴がある

まず屋号の由来においては、店主の松尾亮太さん(1993年福岡市生まれ)を見ると納得。そう、似てる。なんともたくましい男。タイソンは昔から彼自身のニックネームなのだ。

福岡の濃厚豚骨を代表する一店
福岡の濃厚豚骨を代表する一店

ラーメンのキャリアは15歳の時、福岡を代表する超名店「博多新風」からスタートした。同店のある福岡市南区界隈がホームグラウンドであった松尾さんは、毎日のように自転車で店前を通っていた。「決まってできている順番待ちの列、そして美味かった〜と、皆一様に満面の笑みで出てくる。高校生の時にその様子を見ながらラーメンって凄いなと。漠然とですが何か刺さるものがありました」。松尾さんは実際に「博多新風」のラーメンを体感し感銘を受け、さらに店主の高田直樹さんの男気にも惚れた。

「福岡生まれ。豚骨育ち」。15歳からラーメン店に入り、これまで博多豚骨1本の職人、松尾亮太
「福岡生まれ。豚骨育ち」。15歳からラーメン店に入り、これまで博多豚骨1本の職人、松尾亮太

このエピソードを聞くと、松尾さんの師匠である新風・高田さんの若かりし時の話を思い出す。高田さんは2004年、熊本・人吉にあるマー油豚骨のレジェンド「好来」に入門。初めて食べた時にあまりの旨さに感動し、店を出てすぐに球磨川のほとりで入門志願の手紙をしたためた。この師弟愛ついては「豪雨災害からの復活。熊本・好来ラーメンの軌跡」(Qualities豚骨注入!!連載)にも詳しく書いてあるので読んでほしい。師匠から弟子へ、そしてまたその弟子へ。豚骨スピリッツが脈々と継承されていくのは嬉しい限りだ。加えて、松尾さんをはじめ多くの弟子を輩出し、今も皆に慕われている高田さんは、自身の師匠がそうだったように愛に満ちている。

さて、「麺屋たいそん」の話に戻そう。

松尾さんは「博多新風」の修業の後、鹿児島指宿「麺屋二郎」、兵庫県加古川「ラーメン弦流」のメンバーとも親交を温め、2018年にはこれらワンチームでN.Yの麺イベントで優勝。満を持して2019年に「麺屋たいそん」を博多駅前に開いた。

豚頭、ゲンコツ、背骨の豚骨3部位を“とことん”炊き込む
豚頭、ゲンコツ、背骨の豚骨3部位を“とことん”炊き込む

「麺屋たいそん」のラーメンは、松尾さんの熱、人柄が染み出したかのよう。パンチがあり猛々しいが、どこか優しく、スゥ〜と馴染む。材料は豚の頭とゲンコツ、そして仕上げ段階で背骨も加える。強火でガンガン炊いて旨味を絞り出し、臭みは徹底的に飛ばす。

[濃厚][屋台][赤辛]と3種の豚骨ラーメンが柱。また、5周年を迎えた今年、新たに自家製麺への挑戦も始めた。しなかやなコシがあり、カタメンで注文すると“コクッ、コクッ”と心地よい歯ざわり、程よい粉感があり美味。

「特製濃厚豚骨ラーメン」
「特製濃厚豚骨ラーメン」

しみじみとうまい。「なんだかんだいってもやっぱ豚骨でしょ」と再実感させるパワーがある。

博多駅や中洲、天神界隈にステイされる方は「博多駅前創業店」へ、またドライブ途中には「春日総本店」へ足を伸ばしてほしい。「麺屋たいそん」の濃厚豚骨が待っている!!

【麺屋たいそん 春日総本店】

住所:福岡県春日市一の谷2-18

電話:092-558-1000

営業時間:11:00〜15:00、17:00〜22:00

休み:なし

席数:20席(カウンター8、テーブル12)

ラーメンライター

1976年鹿児島市生まれ。株式会社J.9代表取締役。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。その活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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