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『競輪グランプリ2024』はこうなる!脚をためゴール前で突っ込む意外な男─。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
昨年のグランプリは3番車・松浦悠士(赤)が初V(写真:公益財団法人JKA)

並びにサプライズはなく

 神山雄一郎(栃木・61期)がクリスマスイヴに現役引退を表明した。

 G1優勝16回、S級844勝、G1連続出場33回は史上最高記録。グランドスラム(G1、6大会を制覇)も達成したレジェンドがバンクを去る。

 輪界のトップレーサーであった時期でも、奢ることがなかったナイスガイ。だからファン、メディア関係者の誰からも愛された。

 そんな神山は『KEIRINグランプリ』に16度出場するも勝つことは一度もなかった。90年代後半には4年連続して2着に泣いたことも─。

「神山に勝たしてやりたい」

 そう思ったことが幾度もあった。多くの競輪ファンが同じ気持ちだったことだろう。

『KEIRINグランプリ』は力があれば勝てるというものではない。それは一発勝負の怖さであり、ギャンブルとしての大いなる魅力─。

 さて今年は、いかなるドラマが生まれるのか?

 12月17日には都内ホテルで『競輪グランプリ2024』記者会見が開かれ、出場全9選手が出席。車番が公表された後、各選手がコメントを発し並びが確定した。

『KEIRINグランプリ2024』に出走する9選手。左から脇本、新山、北井、清水、岩本、眞杉、郡司、平原、古性。12月17日、都内ホテルで開かれた記者会見にて(写真:東京スポーツ/アフロ)
『KEIRINグランプリ2024』に出走する9選手。左から脇本、新山、北井、清水、岩本、眞杉、郡司、平原、古性。12月17日、都内ホテルで開かれた記者会見にて(写真:東京スポーツ/アフロ)

 

まず車番は、次のように決まった。

1.古性優作(大阪・100期/『オールスター』『寛仁親王牌』優勝、4年連続4度目)

2.平原康多(埼玉・87期/『日本選手権』優勝、2年ぶり14度目)

3.郡司浩平(神奈川・99期/『全日本選抜』優勝、2年ぶり5度目)

4.眞杉 匠(栃木・113期/賞金ランキング6位、2年連続2度目)

5.岩本俊介(千葉・98期/賞金ランキング9位、初出場)

6.清水裕友(山口・105期/賞金ランキング7位、2年連続6度目)

7.北井佑季(神奈川・119期/『高松宮記念杯』優勝、初出場)

8.新山響平(青森・107期/賞金ランキング8位、3年連続3度目)

9.脇本雄太(福井・94期/『競輪祭』優勝、2年連続4度目)

 並びにサプライズはなかった。

 北井―郡司―岩本〈南関東ライン〉

 眞杉―平原〈関東ライン〉

 脇本―古性〈近畿ライン〉

 清水〈単騎〉

 新山〈単騎〉

黄色い勝負服が突き抜ける!

 誰が先行するのか? 北井か、眞杉か、脇本か?

 私は北井が駆けると見ている。

 北井が初のG1優勝を飾った『高松宮記念杯』決勝。あの時郡司は、1つ年上の後輩のために先行し自らは大差の8着に沈んだ。北井のために駆けた。ならば恩を返す、それが競輪。

 関東の大先輩・平原を背に闘う眞杉にも先行意欲はあるが、北井と叩き合ったり、郡司に競り込んだりはしないだろう。それをやれば、近畿ラインを引き出すだけだ。ここは前々に踏みながら南関東ラインの後ろを取り、そこからの勝負を選択する。

 道中は、北井―郡司―岩本―眞杉―平原―清水―新山―脇本―古性。ただ4番手以降は流動的。清水、新山、もしくは脇本が入っているかもしれないし彼らが並走になる可能性もある。

 眞杉が早めに捲って出る。それに合わせて郡司が躊躇なく前に踏み込もう。そこへ清水、新山、脇本―古性が襲いかかる。観客のどよめきの中、ゴール前は大接戦。

 ここで抜け出すのは意外にも、黄色い勝負服ではないか。5番車の岩本俊介─。

 最終ラップで清水に捌かれたなら万事休すだが、しっかりと脚をためながら郡司を追走できれば突き抜けは十分にある。眞杉の仕掛けが早まれば、郡司が番手から出るタイミングも早まる。ならば、40歳にしてグランプリ初出場をギリギリで掴んだ男に勝機到来だ。

 かつて初出場選手の優勝は難しいと言われた時期もあったが、近年はそうではない。

 過去5年で初出場初優勝が2人いる。

 2020年の和田健太郎(千葉・87期)と翌21年の古性。KEIRINグランプリにサプライズはつきもの。人気薄の岩本は狙い目だ。

 対抗は古性と郡司で、買い目はこうなる。

〈2車単〉

 5から1、2、3、4、6、8、9

〈3連単〉

 5=1(折り返し)から2、3、6、9

 5=3(折り返し)からは1、2、6、8

 3連複で5を軸に7を外し全通り(6通り)買うのも妙味。

 前回、静岡競輪場でグランプリが開かれたのは2021年。コロナ禍で入場者数が制限され、メディアもマスクの上にフェイスガードを着用しての取材が義務づけられていた。

 今回は開放感があって嬉しい。

 当日の予報は晴れ、最高気温12度。競輪日和だ。帰省客に揉まれながら胸をときめかせ、静岡に向かうつもりでいる。

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストに。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターも務める。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。仕事のご依頼、お問い合わせは、takao2869@gmail.comまで。

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