年賀葉書の発行枚数などをさぐる(2024年用確定報版)
初年は1949年の約1.8億枚、ピークは2003年の約44.6億枚
日本郵便は2024年1月17日、2024年用年賀葉書(はがき)などの当せん番号とともに、確定発行枚数を発表した。その値などを基に、日本郵便(かつては日本郵政公社)が発行している、年賀郵便用の年賀葉書の発行部数の実情を確認する。
日本の郵便行政における年賀葉書の発行は戦後、1949年発行・1950年用のものが初めて(年賀郵便用の年賀切手は戦前から発行されていた)。その当時の発行部数は約1億8000万枚。以後日本の経済復興、人口の増加に伴い枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超える。その動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。
2023年発行・2024年用の年賀葉書に関しては、2024年1月17日付で発表された【2024(令和6)年用年賀葉書および寄付金付お年玉付年賀切手当せん番号の決定】にある通り、14億4000万1100枚となる。ちなみに2023年用の確定発行枚数は16億7690万8000枚だったので、前年比はマイナス約14.1%。
なお2024年用年賀葉書の当初発行枚数は14億4000万枚で、確定発行枚数はそれから1100枚しか増加していない。ここまで当初発行枚数と確定発行枚数との差が少ないのは、ここ数年の記録にある限りでは前例がない(前年は3690万8000枚増だった)。
ピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも漸次枚数は減少。直近15年間は連続で前年比マイナスを記録しており、2023年発行・2024年用は前年比でマイナス約14.1%(確定発行枚数で比較)。
前年比でプラスを示した最後の年となった2008年は、年賀状印刷に愛用された個人向けの小型印刷機シリーズ「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年であり、年賀葉書の今後の動向を象徴する出来事の一つであったかのように思えてくる。
人口あたりの枚数を算出
「人口は漸減状態にあるのだから、年賀葉書の需要が減るのも当然では」との意見もある。そこで各年の総人口を総務省統計局の人口推計から抽出し、その人数で年賀葉書発行部数を割った値、つまり「日本にいる人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。
もう少し起伏に富んだグラフを期待していたのだが、実際には年賀葉書の発行部数推移とほとんど変わらない形となった。これは人口推移そのものが短期間では急激な変化を示しているわけではないことに起因する。そしてピーク時も発行枚数と同じく2003年で平均枚数は34.9枚。直近2023年発行・2024年用分は11.6枚(確定発行枚数で計算)となる。
この「人口」には年賀状を出せない乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀状を出す人に限れば、一人あたりの平均購入枚数はもう少し上乗せされるはずである。ただし企業などでまとめて出す場合も多々あるため、一般個人としての平均値は、やはり上記算出値程度になるのかもしれない。
インターネットの普及率が今後も上昇を続け、デジタルネイティブ世代が次々と成人化するに連れ、年賀葉書の需要は今後も減少し、発行枚数も減らさざるを得ない事態が続くものと考えられる。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるだろう。
一方、昨今ではインターネット経由で直接住所や名前を知らない、ネット上の知り合いにも紙の年賀葉書を出せるサービスが複数提供されている。切り口次第では、年賀葉書の需要の底上げになるかもしれない。
2024年用の年賀葉書に関するお年玉賞品の具体的ラインアップは次の通り。
・1等(6けた)…100万本に1本
現金30万円または電子マネーギフト31万円分または2023年発行特殊切手集と現金20万円
・2等(下4けた)…1万本に1本
ふるさと小包など
・3等(下2けた)…100本に3本
お年玉切手シート
賞品の引換は2024年1月18日から7月17日まで。郵便局に当せん葉書・当せん切手を持参のこと。1等や2等の場合は本人の住所と名前の確認ができるもの(運転免許証など)も必要となる。
2024年用年賀葉書の販売は2023年11月1日から2024年1月10日まで(インターネット通販での予約・販売受付は2023年10月23日から12月22日)だった。2025年用の販売などもほぼ同時期になるはずだ。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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