なぜバルサはガビと“契約延長”しないのか?バイエルン、ユナイテッド…ビッグクラブの熱視線と決断の時
バルセロナが、調子を取り戻してきている。
バルセロナはシーズン開幕から公式戦5試合の戦績を4勝1分けとしている。リーガエスパニョーラで2位につけ、チャンピオンズリーグでは好発進した。
■中盤の構成
この夏の大型補強は大きかった。
ロベルト・レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、アンドレアス・クリステンセン、ジュール・クンデはシャビ・エルナンデス監督の下で「即戦力」となっている。
だが、やはりバルセロナの肝は「中盤」だ。セルヒオ・ブスケッツ、ペドリ・ゴンサレス、ガビ、この3選手がスタメンに定着してきている。
なかでも、大きいのはガビの成長だろう。第4節セビージャ戦後には、「ガビには強い個性がある。脚を持ったハートのような選手で、規律を守り、ハードワークをしてくれる。マーベラスだ」とシャビ監督に言わしめた。
ただ、バルセロナはガビとの契約延長を行えずにいる。
ガビは2023年夏までバルセロナと契約を結んでいる。つまり、来年の夏には、フリーになる。
「ガビがバルセロナでプレーを続けるということに関しては、すでに合意にこぎ着けている。ガビが18歳にならないと、4年以上の長期契約は結べない。そこに向けて、残すは詳細を詰めるのみだ」と7月の段階で語っていたのはマテウ・アレマニーGD(ゼネラルディレクター)である。
ガビは8月5日に18歳を迎えた。しかし、現時点でバルセロナ側からの公式発表はない。
そのような状況を、バイエルン・ミュンヘン、リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッドといったクラブが注視している。
■バルサのカンテラ出身
ガビはバルセロナのカンテラーノだ。昨季序盤、トップデビューを飾ると、瞬く間にスターダムを駆け上がった。
転機になったのはスペイン代表の招集である。昨年10月、ルイス・エンリケ監督がガビをA代表に呼んだ。当時、懐疑的な意見があったものの、L・エンリケ監督の信頼を勝ち取り、ガビにはレギュラーポジションが与えられた。
一方で、あまりにガビの成長が早く、クラブの対応が追いつかなかった。昨季がスタートしたところで、ガビの年俸は10万ユーロ(約1400万円)だったと言われている。契約解除金は5000万ユーロ(約70億円)だった。
今夏、ガビの契約解除金は1億ユーロ(約140億円)に引き上げられた。
とはいえ、油断はできない。近年、キリアン・エムバペ(当時19歳/パリ・サンジェルマン移籍/移籍金1億8000万ユーロ)、ジョアン・フェリックス(19歳/アトレティコ・マドリー/1億2700万ユーロ)、マタイス・デ・リフト(19歳/ユヴェントス/8500万ユーロ)と若い選手が高額な移籍金で移籍を果たしている。
この夏には、オウリエン・チュアメニ(22歳/レアル・マドリー/移籍金8000万ユーロ)、アーリング・ハーランド(22歳/マンチェスター・シティ/契約解除金6000万ユーロ)、ダルウィン・ヌニェス(23歳/リヴァプール/移籍金7500万ユーロ)の移籍が成立した。
若い選手に投資を行う。それが、この数年の欧州のトップクラブのスタンダードなのである。
バルセロナは今夏、複数のカンテラーノを放出している。
リキ・プッチ、フェラン・ジュグラ、オスカル・ミンゲサ、エズ・アブデ、ニコ・ゴンサレス…。ある者は完全移籍で、またある者はレンタルで移籍している。
バルセロナは大型補強でチームの強化を図った。
それは一定の成果を挙げている。だが一方でカンテラーノの放出は中長期スパンで見た時に損失につながる可能性がある。
ガビだけは絶対に手放してはいけない。少なくないバルセロニスタが、そう考えているはずだ。