投信積立「5%還元」のクレカ登場 新NISAに向けた選択肢になるか
12月21日、三井住友カードが「プラチナプリファード」のポイント還元を2023年1月から一部強化することを発表しました。
その中で、SBI証券でのカード投信積立は「5%還元」に引き上げるといいます。約1年後に予定されている新NISAの開始に向けて、有力な選択肢になるのでしょうか。
年会費は高いが「5%還元」で元が取れる?
投資信託の積み立てに、クレジットカード決済を利用できるサービスの人気が高まっています。銀行口座からの自動引き落としに似ていますが、クレカ決済ではポイント還元を期待できます。
その中で三井住友カードは、「プラチナプリファード」を利用したSBI証券での投信積立の還元率を「2%」から「5%」に引き上げます。
すでにSBI証券と東急カードは、利用実績に応じて最大3%還元を実施しているものの、カードを持っているだけで5%還元というのは異例であり、三井住友カードは「業界最高水準」としています。
注意点は大きく2つあり、まずはプラチナプリファードの年会費は税込3万3000円となっています。プラチナカードとしては安いものの、ゴールドカードなどに比べると高い水準です。
もう1つは、期限などは示していないものの、ゴールドカードの1%還元などと同じく、「内容は予告なく変更となる可能性がある」とされている点です。
そもそもプラチナプリファードとは、プラチナカードの付帯サービスをシンプルにする代わりにポイント還元率を高めたカードとして、2020年9月に発行が始まりました。
コロナ禍では、以前ほど旅行やエンタメを楽しむ機会が減り、その代わりカードを使うたびにメリットを実感できるポイント還元を好む人が増えたことが背景にあるといえそうです。
その後、2022年4月には旅行保険が自動付帯から利用付帯になるという「改悪」があったものの、今回の特典強化にあたって年会費や他の特典に変更はないようです。
三井住友カードによれば、「純粋な還元率の引き上げになる。プラチナプリファードご利用のお客さまに特に好評なサービスを強化した」(広報)とのこと。ポイント還元の原資については、営業秘密のため答えられないとしています。
実際には、どれくらいおトクになるのでしょうか。投資信託をカードの決済上限である月5万円まで積み立てた場合、これまでの2%還元では毎月1000ポイント(1年に1万2000ポイント)だったのに対し、5%では毎月2500ポイント(1年で3万ポイント)を獲得できる計算になります。
ここで還元される「Vポイント」はさまざまな用途に使えますが、カードの利用代金に1ポイント単位で充当するキャッシュバックができることから、ほぼ1ポイント=1円の価値があると考えてよいでしょう。
これを考慮すると、年会費は実質3000円になります。また、「さとふる」と「ふるなび」を利用したふるさと納税も5%還元となるため、さらにおトクになる可能性があります。
利用金額によっては、年会費が条件付きで永年無料になる「三井住友カード ゴールド(NL)」(投信積立は1%還元)のほうがおトクになる場合はありそうです。
ただ、今回の変更により、プラチナプリファードの年会費の元を取るための「損益分岐点」が下がったことで、確実に持ちやすくなったことはたしかです。
新NISAに向けた競争激化か
プラチナプリファードの5%還元が始まるのは2023年1月からですが、その1年後の2024年1月には新しいNISA制度が始まる予定です。
この新NISAでは、つみたてNISAだけでも月10万円の積み立てが可能になる予定ですが、クレジットカード決済では内閣府令などを考慮し、月5万円を上限とするのが一般的です。
何らかの方法で月5万円を超える積み立てにも対応してほしいところですが、三井住友カードは「現在は予定していない」(広報)とコメントしています。
いずれにしても、NISA口座を開設できる証券会社は1つのみであることから、どの証券会社を選ぶかは悩ましいところです。
5%還元といえばauカブコム証券によるau利用者向けのキャンペーンがありましたが、すでに終了済み。楽天証券では楽天キャッシュ決済による0.5%の上乗せが12月に終了し、現在は楽天ペイと組み合わせたキャンペーンに移行しています。
新NISAでは非課税保有期間が無期限になるなど、積み立てを始めたユーザーは長期にわたって使い続けると考えられるだけに、これから獲得競争が激化することは間違いなさそうです。