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OPS.874の外野手は1965万ドルのQOを受け入れたが、OPS.800の外野手は却下

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・ニモ Oct 1, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、クオリファイング・オファー(QO)を申し出られた14人のなかには、外野手が3人いた。アーロン・ジャッジジョク・ピーダーソンブランドン・ニモだ。それぞれ、ニューヨーク・ヤンキース、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ニューヨーク・メッツからFAとなった。

 3人のうち、ピーダーソンは1年1965万ドルのQOを受け入れ、来シーズンもジャイアンツでプレーする。ジャッジとニモは、こちらも再契約の可能性はあるものの、QOは受け入れなかった。

 ジャッジのQO却下は、最初からわかっていた。今シーズンの開幕前に、ジャッジは、ヤンキースに提示された7年2億1350万ドルの延長契約を断っている。この契約の年平均額は3050万ドルなので、QOよりも1000万ドル以上高い。しかも、今シーズン、ジャッジは62本のホームランを打った。

 一方、ピーダーソンとニモを比べると、今シーズンのOPSは.874と.800だ。来シーズンの年齢(6月30日)は31歳と30歳。年齢は近く、左打者という点は共通する。

 だが、今シーズン、ピーダーソンがレフトを定位置としていたのに対し、ニモはセンターを守った。さらに、出塁率は.353と.367。ニモのほうが高い。

 また、ここ3シーズンのトータルは、ピーダーソンが48本塁打と42二塁打、出塁率.325とOPS.784、ニモは32本塁打と55二塁打、出塁率.384とOPS.827だ。パワーはピーダーソンが上だが、出塁率はニモが勝る。三塁打を含めた長打の本数も、ニモのほうがわずかに多い。96本と100本だ。

 2人が揃ってFA市場に出ていれば、ピーダーソンよりもニモが人気を博していただろう。今オフにFAとなった外野手のなかで、別格のジャッジを除くと、ニモはトップあるいはそれに近い。「ファインディング・ニモ」の主人公と綴りは違うが、多くの球団がニモを手に入れようとしてもおかしくない。新たな契約は、QOと同じくらいの年平均額で、総額は1億ドルに達しそうだ。

 ピーダーソンの場合、2020~21年の不振が響いた。QOを却下し、複数年契約を求めても、年平均額はQOの半額程度、長さは2年か3年にとどまったのではないだろうか。加えて、サンフランシスコが地元に近いことも、QO受諾の要因になった気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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