Yahoo!ニュース

OpenAIの特許を分析する(6):DALL-E編集機能の基本特許

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:OpenAI Youtube動画

OpenAIがOpenAI Opco LLC名義で出願した特許の解説シリーズの6回目です。今回は、US11983806B1 ”Systems and methods for image generation with machine learning models”(機械学習によるイメージ生成のシステムと方法)です。出願日は2023年8月30日、登録日は2024年5月24日です(Track One(優先審査)請求)。分割出願(18/618,377)が存在します(出願公開前)、米国外の出願は確認されていません。

今まで解説してきたOpenAIの特許は、審査段階で新規性・進歩性の問題に対応するためにかなり実装に近い限定が補正で追加されており、権利範囲はそれほど広くないものが多かったのですが、この特許はDALL-Eの重要機能をカバーしており、かつ、出願時のクレームがほぼそのままで権利化できている広い範囲の特許であるため、競合他社は注意が必要かもしれません

そのDALL-Eの重要機能とは、イメージ編集機能です。使ったことがある方はご存知だと思いますが、DALL-Eで生成したイメージの選択した領域を、テキスト・プロンプトをベースにして追加したり変更したりできます。下のOpenAIのデモビデオを見るとわかりやすいと思います。生成した犬の画像の領域を指定して、”Add bow”(リボンを追加して)というインストラクションをChatGPT経由で投げることで、犬の画像にリボンを追加しています。

クレーム1の内容は以下の通りです。

この記事は有料です。
栗原潔のIT特許分析レポートの定期購読をお申し込みください。

栗原潔のIT特許分析レポート

税込880円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔の最近の記事