クーマンのペドリのボランチ起用と、CL制覇に必要な「プレス回避」の手段。
すべてが、欠けていた。
チャンピオンズリーグ・グループステージ最終節でユヴェントスに完敗した後、アントワーヌ・グリーズマンはそう嘆いた。グループ2位通過が決まったバルセロナは、決勝トーナメント1回戦でパリ・サンジェルマンと対戦することになった。
チャンピオンズリーグとリーガエスパニョーラのジレンマは、この数年、バルセロナを襲い続けていた。昨季、エルネスト・バルベルデ元監督が解任された際、バルセロナはリーガで首位を走っていた。そして、バルベルデはリーガで2連覇を達成していた指揮官だった。
バルセロナは「CLの呪縛」から逃れられそうにない。だが、いやだからこそ、彼らは試合の内容を追求すべきだろう。
■CLとリーガのジレンマ
そこで、今回はバルセロナの課題を検証したい。
バルセロナが【4-2-3-1】で1トップにブライスワイト、2列目に左からコウチーニョ、グリーズマン、メッシを組み込ませた試合にフォーカスする。リーガ第13節レバンテ戦だ。この試合ではブライスワイトが左に流れ、メッシがトップに上がり、中央にコウチーニョ、右にグリーズマンという形になることが多かった。
そして、バルセロナは攻撃の時に【3-4-3】を採る。メッシの「レジスタ化」である。
ビルドアップの段階ではブスケッツがダウンスリーを行う。デ・ヨングはボランチのところに残る。両サイドバックが上がり、ピッチの中央のところにメッシがいるという形だ。
だがバルセロナは【4-4-2】でブロックを組んでくるレバンテに苦しんだ。
全体をコンパクトにしてくるレバンテは3ラインを基本的に崩そうとしない。ハーフスペースやフロントスペースが潰され、バルセロナには成す術がなかった。
メッシがボランチの位置に下がるのだが、それにより相手の中盤のラインより後ろでボールを受けることが増えた。結果、メッシとジョルディ・アルバの距離が遠くなり、ホットラインが出づらくなっていた。
■ペドリのボランチ起用
そこで、クーマン監督は変化を起こそうとした。ペドリの投入である。57分にブスケッツと交代でピッチに入ったペドリは、ボランチでプレーした。これは最近の試合でクーマン監督が度々見せている選手起用法である。
ペドリはデ・ヨングとダブルボランチを組む形で入ってきた。だがその実はインサイドハーフとの併用であった。
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