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レアルがC・ロナウドの代役に投じた「384億円」の行方と、ジダンに思い出の地で突き付けられた現実。

森田泰史スポーツライター
シャフタール対レアル・マドリーの一戦から(写真:ロイター/アフロ)

素晴らしい思い出が、一瞬にして悪夢になった。

チャンピオンズリーグ・グループステージ第5節、レアル・マドリーは敵地でシャフタール・ドネツクと対戦して0-2と敗れた。シャフタールが本拠地を置くウクライナのキエフは、マドリーが2018年にクラブ史上13度目のCL制覇を成し遂げた場所だった。

キエフの地でビッグイヤーを掲げた2017-18シーズンの終了後、ジネディーヌ・ジダン監督が電撃的に退任。加えて、長年エースを張ってきたクリスティアーノ・ロナウドのユヴェントスへの移籍が決まった。

シャフタール戦のレアル・マドリーのスタメン/筆者作成
シャフタール戦のレアル・マドリーのスタメン/筆者作成

■大きな穴

C・ロナウドの抜けた穴は大きかった。

マドリーは2018年夏以降、前線の補強を続けてきた。ヴィニシウス・ジュニオール(移籍金4500万ユーロ/約54億円)、マリアーノ・ディアス(移籍金2150万ユーロ/約26億円)、ブラヒム・ディアス(移籍金1700万ユーロ/約20億円)、ロドリゴ・ゴエス(移籍金4500万ユーロ/約54億円)、ヘイニエル・ジェズス(移籍金3000万ユーロ/約36億円)、ルカ・ヨヴィッチ(移籍金6000万ユーロ/約72億円)、エデン・アザール(移籍金1億ユーロ/約120億円)...。だがCLにおいては過去2シーズンでベスト16敗退に終わっている。

C・ロナウドの代役確保に投じられた補強費は3億2000万ユーロ(約384億円)に上る。しかしながら。この2シーズンでチーム内得点王に輝いたのはカリム・ベンゼマだ。ベンゼマは2018-19シーズンに30得点、19-20シーズンに27得点を記録している。

単位(万)/筆者作成
単位(万)/筆者作成

■センターバックの問題

また、深刻なのがセンターバックの問題だ。とりわけ、ジダン監督はセルヒオ・ラモス不在時のソリューションを見つけなければならない。

欧州の舞台でそれは顕著に表れている。ラモスが欠場した直近の9試合でシャフタール戦(×0-2)、シャフタール戦(×2-3)、マンチェスター・シティ戦(×1-2)、パリ・サンジェルマン戦(×0-3)、アヤックス戦(×1-4)、CSKAモスクワ戦(×0-3)、CSKAモスクワ戦(×0-1)、ユヴェントス戦(×1-3)と8敗を喫している。

C・ロナウドが抜け、第二次ジダン政権で強化されたのが前線からのプレスのだった。先のシャフタール戦においても、【4-2-3-1】の基本布陣から、守備時の【可変式4-4-2】で、マルティン・ウーデゴールとベンゼマが前からプレッシングを行った。だが、この戦術のキーマンになるフェデリコ・バルベルデが現在負傷で離脱しており、これも少なくないダメージを指揮官に与えている。

筆者作成
筆者作成

■守備の綻び

昨季、マドリーは34回目のリーガ制覇を達成している。

その要因は守備力にあった。リーガ38試合で、20失点。アトレティコ・マドリー(22失点)、アスレティック・ビルバオ(24失点)、ヘタフェ(27失点)、セビージャ(30失点)、バルセロナ(31失点)を抑えてリーガで最少失点数を誇った。

先の補強の話でいえば、マドリーは2018年夏以降に守備陣の選手でGKティボ・クルトゥワ(移籍金3500万ユーロ/約42億円)、アンドリュー・ルニン(移籍金850万ユーロ/約10億円)、アルバロ・オドリオソラ(移籍金3000万ユーロ/約36億円)、フェラン・メンディ(移籍金4800万ユーロ/約57億円)、エデル・ミリトン(移籍金5000万ユーロ/60億円)らを獲得している。

クルトゥワとメンディの補強は当たった。それが昨季のリーガのタイトルにつながったのは間違いない。

しかし、重要なのはバランスだ。キエフの地で突き付けられた現実を受け止め、ジダン監督とマドリーは前進しなければならない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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