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前エンジェルスのグリチックと前年の新人王が、エンジェルス戦で2人揃ってサイクル・ヒットにリーチ

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から,L.グリエルJr.、C.キャロル、R.グリチック May 7, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月11日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、9対4でロサンゼルス・エンジェルスを下した。

 この試合で、ダイヤモンドバックスは、4人が3安打を記録した。エンジェルスには、3安打以上の選手がいなかった。

 1試合3安打の4人中、「5番・ライト」のランダール・グリチックと「7番・センター」のコービン・キャロルは、サイクル・ヒットにリーチをかけた。

 達成の可能性が高かったのは、グリチックのほうだ。三塁打とホームランに続き、3打席目に二塁打を打った。あとは、シングル・ヒットが出れば、サイクル・ヒットとなっていた。キャロルは、三塁打と二塁打に、四球を挟み、シングル・ヒットでリーチ。サイクル・ヒットには、ホームランが必要だった。

 2人とも、サイクル・ヒットは達成できなかった。グリチックは、4打席目が四球、5打席目はレフト・フライ。キャロルの5打席目は、センター・フライに終わった。

 同じ試合で2人がサイクル・ヒットは、メジャーリーグでは皆無……もしかすると、ニグロリーグであるかもしれない。マイナーリーグでは、少なくとも2度起きている。

「サイクル&サイクル。チームメイトの2人が同じ試合でサイクル安打」

 グリチックがサイクル・ヒットにリーチをかけたのは、その後、打席が回ってこなかった試合を含め、通算7度目。これまでは、三塁打が足りなかった試合が5度と、二塁打がなかった試合が1度だった。キャロルのリーチは、これが3度目。昨シーズンの2試合も、ホームランが出なかった。

 昨シーズン、グリチックは、夏のトレードでコロラド・ロッキーズからエンジェルスへ移籍した。8月と9月にウェーバーにかけられたが、獲得を申し出る球団は現れず、オフにエンジェルスからFAとなり、ダイヤモンドバックスと契約を交わした。

「昨夏の大量ウェーバーでエンジェルスに唯一人「売れ残った選手」の新球団が決まる。メジャーリーグ契約」

 今シーズン、グリチックは、第4の外野手という立場だ。基本的には、左投手に対して起用され、41試合でホームランは2本ながら、打率.316(98打数31安打)と出塁率.367、OPS.847を記録している。4月23日に、通算1000本目のヒットを打った。通算200本塁打までは、あと7本だ。

 キャロルは、2019年のドラフトでダイヤモンドバックスに全体16位指名を受け、2022年の夏にメジャーデビュー。昨シーズンは、新人王を受賞した。

 今シーズンは、「2年目のジンクス」と形容すべきだろうか。65試合でホームランは2本、打率.213(249打数53安打)と出塁率.300、OPS.610だ。昨シーズンの155試合は、打率.285(565打数161安打)と出塁率.362、OPS.868だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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