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ドラムを叩く名物ファンの「代役」に大物ミュージシャンが登場する

宇根夏樹ベースボール・ライター
プログレッシブ・フィールド April 10, 2009(写真:ロイター/アフロ)

 クリーブランド・インディアンズの球場には、名物ファンがいる。外野席の最上段でドラムを叩いて応援する、ジョン・アダムスだ。彼のボブルヘッド人形が、球場で配布されたこともある。

 1973年の夏以来、アダムスは、インディアンズのほぼすべてのホーム・ゲームでドラムを叩いてきた(全試合が無観客で行われた昨シーズンは除く)。1993年まではクリーブランド・スタジアム、1994年からはジェイコブス・フィールドだ。ジェイコブス・フィールドの名称は、2008年より、現在のプログレッシブ・フィールドに変わった。

 だが、昨年12月、アダムスは心臓の緊急手術を受けた。手術は無事に成功し、回復に向かっているものの、まだ球場へ行くことはできない。現在、アダムスは69歳だ。

 4月5日に行われるホーム・オープナー(ホーム開幕戦)は、アダムスに代わり、違うファンが外野席でドラムを叩く。ただのファンではない。ザ・ブラック・キーズのドラマー、パトリック・カーニーだ。

 ESPNが掲載したAPの記事によると、カーニーは「クリーブランドで行われる最初の試合に、ほぼ50年で初めてジョン・アダムスが来られないと知って、チームに申し出たんだ」と語っている。カーニーも、もう一人のメンバーであるダン・オーバックも、オハイオ州アクロンの出身だ。同じ州のクリーブランドまでは、車で1時間かからない。

パトリック・カーニー 18 Jan 2020
パトリック・カーニー 18 Jan 2020写真:REX/アフロ

 もっとも、カーニーが代役としてドラムを叩くのは、おそらく、この試合だけだろう。アダムスが健康になり、球場へ戻ってくることを願いたい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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