各国10代-20代若者の未来予想図「40歳になったとき、僕たちは結婚や子どもを持てているだろうか」
各国の未来予想図
前回の記事で、こども家庭庁「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を基に、日本と諸外国の若者(13-29歳)の恋人有率の比較を紹介した。
参照→日本では「恋人がいる割合はいつも3割しかいない」が、諸外国の若者の恋人有率はもっと高いのだろうか?
同じ調査結果をベースに、今回は、これらの各国の若者が「40歳くらいになったとき、自分は結婚しているか・子どもを育てているか」というアンケートに対する回答を比較してみる。
「結婚したいか・子どもを持ちたいか」という希望ではなく、「そうなっているかどうか」の未来予想である。つまり、希望はあっても実現できないだろうなと思っている場合は含まれない。
各国の結果は以下の通りである。
内閣府時代の2013年から同様の調査を継続しているので、その間の10年間の経年推移も見てみよう。なお、韓国は2023年調査は実施していない。
まず、日本であるが、各国と比較して圧倒的に「結婚している」も「子どもを育てている」も低い。2023年では、結婚は50.2%とかろうじて過半数だが、子どもは42.8%と過半数を割っている。しかも、2013年からの推移で見ると、結婚は15%ポイント減、子どもも19%ポイントも減少である。
同様に、アメリカも2013年対比で落としているが、それでも結婚10%ポイント減、子どもも7%減に過ぎない。フランスも多少落ちているが微々たるものだ。ドイツは10年間ほぼ変わらずだし、スウェーデンに至っては、結婚も子どもも増えている。ちなみに、参考までに掲出している韓国(2013・2018年のみ)と比較しても、日本の数字は極端に低いことがわかる。
悲観的な日本の若者
実態としては、少なくとも韓国よりは日本の出生率の方が高いのだが、日本の若者の方が「結婚や子どもを持つことはないだろう」と悲観的な未来を予想していることになる。
これは、「結婚したい」や「子どもを持ちたい」という希望を聞く調査結果よりも深刻で、日本の若者は「結婚も子どもを持つこともできないだろう」と約半数が思ってしまっているということだ。
しかも、2013年時点では、日本も6割以上が「結婚も子どもも育てている」と回答し、ドイツと同等であったにもかかわらず、この10年で急激に減少している。
もちろん、この調査の対象年齢が13歳からということもあり、特に18歳未満は「結婚も子どももよくわからない」ということもあるかと思うかもしれないが、年齢別に見ても、むしろ13-14歳はもっとも高い。
15-19歳のまだ学生世代、20-24歳のこれから社会に出て行く世代の割合がもっとも低く、2018年との対比でも大きく減少している。20-24歳では6割以上が「子どもを持てない」となっている。
むしろ、ここにこそ、日本の子どもや若者自身が、もはや「結婚や子どもをもうけて家族になる」ということが実現不可能な夢物語化していることが示されているのではないだろうか。
フランスとの差は20代
ちなみに、フランスは、結婚も子どももどちらも7割を超えている。よく出生率の件では、フランスと比較されることが多いが、日本とフランスとの出生率の差は、20代の出生率の違いだけといっても過言ではない。
参照→フランスと日本の出生率の差~日本の20代が結婚できない問題
若者が若者のうちに、特に不安や障害を感じることなく結婚して子どもをもうけることができるフランスと、「無理だな」と10代から20代のうちに諦めてしまっている(または、諦めざるをえなくなっている)日本との差が、そのまま出生率の差なのだ。
日本以上に低出生率に苦しむ韓国も同様で、「20代で子どもが産まれない問題」である。
「半数が結婚もせず、子どもを持たない」というのはありえないと思うかもしれないが、すでに2020年の時点で男性の生涯無子率は4割近くになっており、2040年にはほぼ5割になると推計されている。女性も4割が生涯無子になる。
2040年とは、この調査での20代が丁度アラフィフ世代になる頃である。決してあり得ない話ではないのだ。
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