西日本などで黄砂観測 一体、黄砂のゴールはどこなのか?
黄砂のシーズン到来です。昨夜(6日)から今朝(7日)にかけて、南西諸島から北陸地方の広い範囲で黄砂が観測されています。多くのところは視程が10キロ以上と、見通しが効かないほどの状態ではなさそうですが、空がうっすらと黄色くかすんでいるようです。
黄砂のスタート
黄砂は北アジアに春の到来を告げる季節現象です。
黄砂の起源は、中国内陸部やモンゴルに位置するゴビ砂漠、タクラマカン砂漠、そして黄土高原の砂です。春になって砂漠を覆っていた雪が解け、次々と発生する低気圧のもたらす強風によって、砂嵐が起こります。
砂漠に近いところでは視程がほぼ効かず、死と隣り合わせの危険な状況になります。中国では、視界が50メートル以下になるほどのひどい砂嵐を「黒風暴」などと呼んでいます。呼吸困難や視界不良による交通事故が原因で、死者が出るほどの深刻な被害が発生するのです。
上の動画は5日(木)に発生した中国・内モンゴル自治区の砂嵐の様子です。CCTVによると、この日の視程は1メートルで、鉄道などの交通機関に障害が出たとのことです。この黄砂の一部が、昨日(6日)韓国に到達、続いて日本に飛んできました。
空飛ぶ黄砂
黄砂が飛来する途中で大きい粒子のものは地上に落ちるので、日本に到達する黄砂は直径4マイクロメートルほどの極小サイズが大半です。これはスギ花粉の7分の1、また髪の毛の20分の1ほどの大きさです。粒子が細かいために体内に入りやすく、喘息などの呼吸器疾患の原因となるほか、心筋梗塞の発症と関連しているともいわれています。
黄砂のゴールは?
では、日本を飛び越えた黄砂は一体どこまでいくのでしょうか。
まずハワイに到達しているという報告があります。しかも、年月をかけて降り積もった黄砂のミネラル分が、ハワイの森林の成長に重要な役割を果たしてきたとする研究もあるほどです。
黄砂の飛来はまだまだ続きます。太平洋を渡りきり、カナダの最高峰ローガン山などで発見されているほか、大西洋のグリーンランドの氷の中からも見つかっているのです。その飛来距離、実に1万1千キロ。黄砂はアジアにとどまらず、世界的な現象なのです。
【参考資料】
"Accretion of Asian dust to Hawaiian soils: Isotopic, elemental, and mineral mass balances" (PDF)
"A 10,000 km dust highway between the Taklamakan Desert and Greenland" (PDF)