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髙部瑛斗の「2位と22盗塁差」は、大差の盗塁王の歴代何位にランクインしたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
福本豊 1977(写真:岡沢克郎/アフロ)

 今シーズン、髙部瑛斗(千葉ロッテ・マリーンズ)は44盗塁を記録し、盗塁王を獲得した。リーグ2位の周東佑京(福岡ソフトバンク・ホークス)は、半数の22盗塁だった。

 2位に20盗塁以上の差をつけた盗塁王は、見落としがなければ、髙部が延べ25人目だ。その内訳は、1リーグ時代に2人、パ・リーグが延べ15人、セ・リーグは延べ8人。パ・リーグとセ・リーグの人数の差は、福本豊に起因する。福本の7度を除くと、パ・リーグも、セ・リーグと同じ延べ8人となる。ちなみに、福本は、盗塁王を13度獲得している。1970年から1982年まで、13年連続だ。

 各シーズンの盗塁王を、盗塁の数ではなく、2位との差が大きい順に並べると、髙部の22盗塁差は、1950年の木塚忠助(78盗塁)と並び、21位に位置する。

筆者作成
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 こちらも、目につくのは、福本による大差だ。2位に30盗塁以上の差をつけた延べ11人中、福本は、過半数の6度を占める。なかでも、1972年(106盗塁)と1974年(94盗塁)は、2位に60盗塁以上の差をつけた。その間の1973年(95盗塁)も含め、3年連続90盗塁以上。1973年の島野育夫は、当時としては歴代13位タイの61盗塁を記録したにもかかわらず、盗塁王を獲得できなかった。

 一方、2位に30盗塁以上の差をつけた、福本以外の5人中4人は、2位が30盗塁に達しなかった。自身の盗塁が多かっただけでなく、2位の盗塁が少なめだったことも、大差を生んだ。

 なお、髙部の2位と22盗塁差は、大差のトップ20には入らなかったものの、近年においては、こちらもかなり珍しい。2004年の盗塁王2人、セ・リーグ2位と25盗塁差の赤星憲広(64盗塁)と、パ・リーグ2位と20盗塁差の川﨑宗則(44盗塁)を最後に、2位に20盗塁以上の差をつけた盗塁王は、髙部がそうなるまで、17シーズンにわたって途絶えていた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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