悪天のアメリカで魚の大量死 原因は?
第一発見者はさぞや「ぎょっ」としたことでしょう。13日アメリカ・コロラド州の池の中で、数百匹の魚が死んでいるのが見つかりました。この池には8種類の魚がいましたが、生き残っている魚は1匹もいなかったといいます。
一体何が起きたのでしょう。
魚大量死の理由
当時周辺では、発達した積乱雲が発生しており、雷雨、大雨、テニスボール大の巨大な雹(ひょう)などが観測されていました。
専門家は魚が大量死した理由を、大粒の雹が大量に降り、池の中の冷水と温水がかき混ぜられ、水中の酸素が欠乏したためではないかと推測しています。
テニスボール大の雹が降った場合、その落下速度は平均で時速約100キロにも上ります。こうした強い衝撃が水の中の環境を一気に変えてしまったのです。
コロラド州は「雹街道」
この出来事が起きたコロラド州は、隣り合うネブラスカ州とワイオミング州と並び、全米で最も雹の多い地域で、別名「雹街道(hail alley)」とも呼ばれています。年間の降雹日は7~9日で、年に3~4回は壊滅的な被害が発生します。
雹の多いコロラド州の中でも最悪の被害だったといわれているのが、1990年7月11日にデンバーで起きたもの(下に動画)で、この時は15キロの広い範囲にわたってゴルフボールから野球ボール大の大粒の雹が降りました。
雹は遊園地エリッチガーデンの観覧車も直撃し、乗っていた乗客47人が負傷したと伝えられています。
雹の中身
2010年アメリカ北部のサウスダコタ州で直径20センチの雹が降ったことがありました。これを見つけた発見者は、その雹をカクテルの氷にしようと考え、冷蔵庫に保存していました。そのおかげで証拠が残り、のちに世界一大きな雹として認定されたのです。
しかし雹は、雨と同じく地上の様々な物質を含んでいて、あまりきれいとはいえないようです。通常植物に寄生している数種類のバクテリアや、土壌に含まれる3,000もの化合物が雹の中から検出されています。
前述の雹の発見者は、いろんな意味で雹を口にしなくてよかったですね。