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帰って来た羽鳥/スズ子のはじけっぷりは大スターになる予兆〈ブギウギ〉

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

「何度もやってきたステージ(楽曲)なので、指揮者が不在でも大丈夫という設定になっています」(福岡CP談)

朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)は長く苦しかった戦争も終わり、第15週「ワテらはもう自由や」と解放的に。

「ハイ・ライト!」という日帝劇場再開コンサートが行われ、第69回で茨田りつ子(菊地凛子)が「別れのブルース」をフルコーラスで泣きながら歌い上げ、第70回ではりつ子からバトンを受け取ったスズ子が久々に「ラッパと娘」を歌った。

「お客さん全員元気にしたる」(69回)の勢いで大爆発。撮影もカメラがスズ子を下から煽って撮るなど勢いよく、戦後の心境の変化が感じられた。制作統括の福岡利武チーフプロデューサー(以下福岡CP)も「最初の頃は、いい意味で緊張感のあるステージシーンでしたが、今回は、いい意味でリラックスできてライブ感をしっかり捉えることができたんじゃないかなと思います」と満足そうだ。

「久々に舞台で大きく弾けられるという喜びで、趣里さんも思いきって爆発していましたし、撮影スタッフもだんだんとステージ撮影に慣れてきていて、この熱い想いみたいなものをうまく汲み取ろうということで、手持ちカメラで攻めるというようなスタイルになったと思います。りつ子もスズ子もどちらも素晴らしくて、ふたりの勢いに乗って、撮影自体がゾーンに入ったかのようで、とてもいい仕上がりになりました」

この後、スズ子は本当に大スターになっていきます。

今後、戦後が舞台となると、こういうライブ感あふれるノリになっていくのだろうか。

「その都度その都度違いますけれど、比較的ライブ感みたいなものは大事になってくると思います。この後、スズ子は本当に大スターになっていきます。観客の心を掴んで離さない表現をしっかりできればと思っていますので、お楽しみください」

「ブギウギ」より 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

また、第69回のりつ子の「別れのブルース」フルコーラスについて、福岡CPはこう振り返った。

「自分の歌を聞いて特攻に出ていった若者たちのことを気に病んでいたりつ子が、スズ子の歌に力をもらう台本(櫻井剛脚本)がすごくよかったですよね。台本を読んだ演出の盆子原が、りつ子の想いをしっかり描くためには、ここでフルコーラス歌わないといけないと意気込んで取り組みました。『別れのブルース』は男女の別れの話ですが、別れから再出発するみたいな想いまでこの歌で持っていければいいなと思っていたところ、実際、菊地凛子さんの歌が、戦争の終わりを感じさせてくれる、とても染みるものでした。2番になるとぐっとマイクを握って、行くぞ!という力強い気持ちが表現されるところなど本当に素晴らしかったです」

ちなみに、スズ子とりつ子が熱唱するコンサートを、上海から戻ってきた羽鳥(草彅剛)が客席で見ている。第67回、上海で銃をつきつけられてどうなるかとハラハラしたが、命からがら帰国したようだ。

ともあれ、ステージでは、指揮者はいなくても成立するものなのだろうか。

「何度もやってきたステージ(楽曲)なので、指揮者が不在でも大丈夫という設定になっています」と福岡CP。

なるほど。羽鳥しかスズ子のステージを指揮できる指揮者はいないということかもしれない。これからスズ子と羽鳥はますます良きパートナーシップを築いていくことになる。大スター・スズ子の爆誕に期待する。

連続テレビ小説「ブギウギ」

総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間を振り返ります

NHKBS【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分

NHKBSプレミアム4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分

【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>

【音楽】服部隆之

【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里

【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛  菊地凛子 小雪 生瀬勝久 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか

【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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