ソフトバンクとの首位攻防戦は3連敗で、2ゲーム差の2位に…《阪神ファーム》
1ゲーム差と迫る、2位のソフトバンクを迎えて行われた首位攻防戦。2日と3日は鳴尾浜で、4日はウインク球場(姫路市立姫路球場)でした。3日間ともかなりの暑さだったため、通常は5回終了時に行われるグラウンド整備以外に、3回と7回が終わったところでもトンボによる整備時間が設けられています。その間に選手と審判団の皆さんも水分補給などをするわけですね。他球場ではよくある光景ですが、鳴尾浜では久しぶりに見たような気がしました。
そんな暑い中で熱い戦いが…と言いたいところですけど、残念ながら阪神は3連敗。7月26日からの中日戦で3タテを食らい、30日からのオリックス戦は1勝2敗、そして今回のソフトバンク戦がまた3タテと、ここ3カードで1つしか勝てていません。9試合のうち完封負けが4試合、総得点が12しかないんですよね。平均すると1.33?1試合に2点も取れていないという計算です。まあ今季は最初から打線爆発という感じじゃなかったので。それでも勝ってきたのは投手陣の頑張りが大きいでしょう。
奇しくも4日の試合後に、平田監督からもそんな話がありました。のちほどご紹介します。2日と3日の分は簡単な結果と試合経過で、コメントもなしです。ご了承ください。
【2日】木浪選手が先制ソロ!しかし…
首位攻防の初戦は先に4点を失い、1点ずつ返して1点差まで迫りながら追い越せずに敗れた阪神。これで両チームのゲーム差がなくなり、3月27日から守ってきた首位の座をソフトバンクに明け渡しました。
《ウエスタン公式戦》8月2日
阪神-ソフトバンク 20回戦 (鳴尾浜)
ソフ 004 000 000 = 4
阪神 100 001 100 = 3
◆バッテリー
【阪神】●小野(1勝1敗)-谷川-尾仲-石井-斎藤-福永 / 長坂
【ソフ】○板東(2勝3敗)(6回)-奥村(1回)-田中(1回2/3)-S川原(1勝4S)(1/3回) / 九鬼
◆本塁打 神:木浪1号ソロ(板東)
◆三塁打 神:陽川
◆盗塁 ソ:九鬼(5) 神:熊谷(11)
《試合経過》※敬称略
1回に木浪がファームでは初のホームランで1点先制したものの、以降は1人の走者も出せず前半が終了。一方、阪神の先発・小野は3回に3安打と3四球で4点を失い、逆転されます。4回から谷川が2イニングを完ぺきに抑え、6回は尾仲が1安打無失点。するとその裏、長坂の四球などで2死三塁として木浪が中前タイムリー!7回は石井が三者凡退で終えると、その裏に先頭の陽川が右翼線三塁打を放ち、ナバーロの二ゴロで1点差としました。
8回の斎藤は2四死球と暴投で作った2死二、三塁というピンチをしのぎ、9回の福永が2死から死球を与えるも長坂の盗塁阻止で無失点。しかし打線は陽川の中前打のみで反撃ならず。ともに5安打ずつ、しかもソフトバンクはすべて単打だっただけに、四球絡みで失った4点が惜しいですね。
【3日】二塁打5本でも打ち負けました
順位が入れ替わっての首位攻防2戦目は翌3日。陽川選手が4番、中谷選手が5番と打順変更されました。この日は阪神12安打、ソフトバンク13安打とほぼ同じ。しかも阪神は5本も二塁打を放ったんですけど、本塁打と三塁打が1本ずつに加え、二塁打も4本のソフトバンクが8対3の勝利。ゲーム差1となっています。
《ウエスタン公式戦》8月3日
阪神-ソフトバンク 21回戦 (鳴尾浜)
ソフ 102 010 103 = 8
阪神 200 000 010 = 3
◆バッテリー
【阪神】●馬場(4勝5敗)-歳内-石井-能見-ドリス / 片山-長坂(7回~)
【ソフ】○中田(4勝3敗)(5回0/3)-渡辺健(1回2/3)-岩嵜(1回1/3)-杉山(1回) / 九鬼-市川(8回~)
◆本塁打 ソ:福田1号ソロ(馬場)
◆三塁打 ソ:三森
◆二塁打 神:木浪2、板山、中谷2
ソ:福田、谷川原、中村晃、真砂
◆盗塁 ソ:真砂(19)、三森2(12)、増田(5)
《試合経過》※敬称略
馬場は1回、福田に先頭打者ホームランを浴びますが、その裏に1死から木浪と板山の連続二塁打で追いつき、陽川の右前タイムリーで勝ち越し成功!しかし3回、福田の二塁打と2四球で満塁とした馬場は、田城に2点タイムリーを浴びて再逆転されました。5回にも中村晃のタイムリー二塁打があり、計4失点。
6回は歳内が1安打のみの無失点。7回は石井と長坂のバッテリーに代わって、1死から三森の三塁打に続き、代打・美間のタイムリーで1点失いましたが、8回の能見は内野ゴロ3つ、8球で三者凡退!その裏、山崎、長坂、代打・伊藤隼の3連打で1死満塁として、熊谷が押し出しの四球。ようやく1点だけ返します。
ところが9回のドリスが福田のタイムリー二塁打と、暴投2つで計3失点。その裏の攻撃も四球とエラーで2死二、三塁と攻めながら得点なく、試合終了です。
【4日】1安打と1得点のみで完敗
首位の座を奪われ、さらに連敗した阪神。翌4日は姫路ウインク球場に場所を移して行われました。姫路でのウエスタン公式戦は毎年恒例で、昨年と同じソフトバンク戦、昨年と同じ呂投手の先発、そして昨年と同じく阪神の負けです。これで3連敗となり、7月末の中日戦に続いて今季2度目の同一カード3タテ。首位のソフトバンクとは2ゲーム差、しかも2位のオリックスに1ゲーム差と迫られています。
そんな重苦しい状況ではあったけれど、試合後に行われた野球教室で子どもたちと触れ合った選手は、すぐ優しい笑顔になりました。この日は姫路市内の7チームから84人が野球教室に参加。また姫路市内の4つの児童養護施設から訪れた25人との“ふれあい会”も同時開催され、こちらは岡崎選手、山崎選手、伊藤隼選手がお相手しています。選手にも子どもたちにも、いい夏の思い出になったでしょうね。
《ウエスタン公式戦》8月4日
阪神-ソフトバンク 22回戦 (姫路)
ソフ 002 100 004 = 7
阪神 000 000 100 = 1
◆バッテリー
【阪神】●呂(1勝6敗)-谷川-尾仲-歳内-飯田-斎藤-福永 / 長坂-岡崎(9回表)
【ソフ】○武田(1勝1敗)(6回1/3)-田浦(2/3回)-奥村(1回)-川原(1回) / 九鬼
◆三塁打 ソ:三森
◆二塁打 ソ:美間 神:陽川
◆盗塁 ソ:谷川原(4)、増田(6)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:島田 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .245
2]遊:小幡 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .207
3]二:木浪 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .200
4]一左:陽川 (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .263
〃打:片山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .214
5]右:中谷 (2-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .234
6]左:板山 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .210
〃打一:山崎 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .282
7]指:伊藤隼 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .196
〃打指:熊谷 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .211
8]捕:長坂 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .248
〃捕:岡崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .050
9]三:藤谷 (2-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .155
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ※
呂 3.1回 70球 (6-3-3 / 3-3 / 5.09) 145
谷川 0.2回 18球 (0-2-1 / 0-0 / 3.89) 148
尾仲 1回 14球 (0-1-0 / 0-0 / 4.70) 148
歳内 1回 13球 (0-0-0 / 0-0 / 3.41) 145
飯田 1回 8球 (0-1-0 / 0-0 / 2.57) 147
斎藤 1回 12球 (1-1-0 / 0-0 / 2.86) 150
福永 1回 30球 (4-0-0 / 4-4 / 3.25) 153
※チーム測定の数字
《試合経過》※敬称略
まず投手陣。三者凡退で立ち上がった呂は、2回も死球と暴投があったものの無失点。ところが3回、8番の美間から4連打で2点を失います。4回には美間の二塁打などで1死一、二塁として福田の右前タイムリーを浴び降板。代わった谷川は、2死後に四球を与えるも後続を断って3者残塁です。5回は尾仲が、味方エラーの走者のみで無失点。6回は歳内が、7回は飯田がともに三者凡退の好投!8回の斎藤は1死から九鬼の中前打を許しましたが、二塁は踏ませず。
しかし福永と岡崎のバッテリーに代わった9回、連打と犠打で1死一、三塁として谷川原の右前タイムリー。さらに三森も左中間タイムリー三塁打と増田の二ゴロで、計4失点。
打線はソフトバンク武田の前に、1人の走者も出せないまま4回を終えます。ようやく5回に先頭の陽川がセンターのフェンスを直撃する二塁打!初の走者が出たのは、試合開始から1時間40分後のことでした。でも得点はなし。6回は藤谷の四球のみ。7回は木浪と陽川が連続で四球を選び、暴投で無死二、三塁となって中谷が左犠飛!やっと1点入りました。ここで武田は降板しますが、以降も完ぺきに抑えられた打線。結局1安打で、得点も犠飛による1点しか奪えず完敗です。
試行錯誤する選手たち
試合後、平田監督はテレビインタビューで「武田クラスのピッチャーを簡単には打てないと思いましたけど、もっともっと力をつけないと1軍は遠いなと思い知らされたゲームですよね」と話しました。また「向こうのバッターは追い込まれても叩きつけて内野安打を打つとか、そういう食らいついていく姿勢を見習わなきゃいけない」とも。
続いて囲み取材での談話です。陽川選手が唯一ヒットでしたね。「陽川はきのうぐらいから、ちょっとよくなってきた。1軍からファームに落ちてきて、木浪もそうだけど2、3試合はモチベーションというのか、調子がよくないことは(どの選手にも)多々ある。木浪も陽川もよくなってきている」
犠飛で完封を阻止した中谷選手について「将大は今、次の1軍で自分のレベルをどうやって上げようかと試行錯誤しているところ。色んなことを試したり、タイミングの取り方を変えたり、色々やっている段階なのでね。今はあまり結果をというより、次につなげるための(段階)。上へ行って、また落ちてきて…というんじゃね」と説明がありました。
「タイミングの取り方がよくないから、この前ちょっと話をしたんだけど『いろいろ変えたり、自分なりにやっています』って言うのでね。それなら自分で感じるものもあるだろうから、ここにいる間に自分でやってみ、と言ったんだよ」とのことです。
力をつけて結果を残してこその1軍
平田監督にとっては久しぶりとなる姫路での試合。「姫路では負けないんだよ、俺は!こんな大敗なんて。暑い中、せっかく来てくれたファンに、もうちょっといい試合見せたかった」と繰り返しました。
姫路での公式戦が恒例となったのは、藤井宏政選手が加古川北高校から入団した2009年以降で、球場改装の前の2011年までは5月か6月の土日で2連戦だったんですよね。実は、その2009年(オリックス)の2戦目に負けています。でも2010年(中日)は2つとも勝ち、改装後の2014年8月(中日)の1試合も横田選手が3本のホームランを放って圧勝!先発の島本投手が“プロ初勝利”を挙げた試合ですね。
ちなみに吉竹監督時代は2011年が1勝1敗でした。また2015年から2018年は、古屋監督、掛布監督、矢野監督で3敗1分けと、しばらく勝っていません。よって平田監督の4勝1敗は「負けないんだよ」と言ってもいいくらいの戦績でしょう。ちょっと話が逸れましたね。
この日の試合で好投した中継ぎ投手陣に「よく粘ったね。谷川から斎藤まで、素晴らしい粘りのピッチングしてくれたよ」と平田監督。そして再び野手へのゲキです。
「実力をつけるしかない。力をつけて1軍に呼ばれるような結果、数字を残さないと。何かあった時に、この選手と言われるように。矢野監督は去年ファームを見ているから、そういうのがわかるので。小幡や藤谷みたいにまだ経験させてというのと、陽川や木浪みたいに次呼ばれたらというのと、ちょっと今試したいっていうのと、いろんな段階があるけどね」
最後に「ここに来てソフトバンクとの力の差は歴然だもん。今まで、春先とかはピッチャーが踏ん張って2対1とか1対0でで勝ったりしていたけど。そうはいかんよ」と静かな口調で締めくくりました。
久々の無四球が自信となりますように
では選手のコメントをご紹介しましょう。陽川選手は「まだまだです。まだミスショットがあるので、1軍に上がるには減らしていかないと」という短め。ついで6回に登板して三者凡退に抑えた歳内投手。決め球は全部フォークでしたよね?「3人ともフォークです。早いカウントのフォークで空振りや内野ゴロが取れるようになれば、自分が楽になるので、試しています」
締めは斎藤投手です。久しぶりに無四球で投げ終えましたね、と言ったら「ずっとそれが課題で、ずっと意識をしていたことなので、まずは先頭をキッチリ取れてよかったです」という返事。「3人で抑えられなかったけど、四死球のないことが自分としてはよかったですね。これからもずっと意識して、続けていきたい」
ここまで斎藤投手はファームで28試合に登板し、サヨナラ負けの試合と危険球で退場した試合を除いて、すべて1イニングずつ投げています。そして5月末までは17試合で3四死球(5月18日に2四球、5月31日に1死球)だったのが、6月以降の11試合で9四死球(四球5、死球4)と増加。7月28日からは3試合続けて4四死球でした。
これについて「フォームもそうですけど、やっぱり“出ちゃう”って感じがあって…」と振り返ります。「制球を意識して何試合か臨みましたが、うまくいかなかった。きょうヒットはあったけど、よかったです。フォアボールは命取りなので」。つきまとう不安を払拭する契機となればいいですね。
なお、美間選手から149キロの真っすぐで奪った見逃し三振は見事でした。「スライダーを張っていたと思います。自分的にはいい真っすぐが決まったので、そういうのも続けて、追い求めてやっていきたいです」
<掲載写真は筆者撮影>