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まだ実現しない!? 4冠統一ウエルター級戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 今、ボクシングファンが最も期待するカードの一つに挙げられるメガ・ファイトが、WBOウエルター級チャンピオンのテレンス・クロフォードと、WBA/WBC/IBF同級王者、エロール・スペンス・ジュニアとの統一戦であることに異論の余地はない。

写真:ロイター/アフロ

 今年4月16日にWBAタイトルを獲得して3冠を達成した28戦全勝22KOのエロール・スペンス・ジュニアと、38戦全勝29KOでライトから3階級を制しているテレンス・クロフォード。両者による4冠ウエルター級統一戦は、スペンスが3本目のベルトを手にした直後から、実現に向けて動き出した筈だった。一度は、この11月19日に決定かー--とも報じられた。

写真:ロイター/アフロ

 しかし先日、クロフォードはESPNの記者に対し、12月10日に地元、ネブラスカ州オマハで元WBA同級王者のダビッド・アバネシヤンと戦うことを仄めかした。29勝(17KO)3敗1分けのアバネシヤンの名を耳にして、落胆するファンは少なくない。

 2021年11月20日以来、リングに上がっていないWBO王者にはチューンナップ試合が必要ということか。

 2人のサウスポーによるウエルター級4冠統一戦は、どちらが勝ってもダイレクト・リマッチが前提で実現に向けて進んでいたと聞く。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 クロフォードは「自分は統一戦を切望していたが、スペンスはそれほど乗り気でもないようだ。でも是非、実現させたいね」とコメント。

 スペンスもまた、3本のベルトを束ねたリング上で「誰もが、俺が次に戦いたい相手を知っているはずだ。WBO王者のテレンス・クロフォードだよ。皆が望むファイトだろう。WBOのベルトも奪ってみせるぜ!」と語っている。

 1999年に2度催されたWBA/IBFヘビー級王者、イベンダー・ホリフィールドvs.WBC同級チャンピオン、レノックス・ルイス戦も、ファイトマネーを巡って合意までに時間を要した。フロイド・メイウェザー・ジュニアとマニー・パッキャオとのファイトは更になかなか決まらず、「5年遅かったカード」と称された。

 プロモーターたちが、この豪華カードを捨てる事はあり得ない。どの程度のスケールのファイトとなるだろうか。2023年にこのカードが2試合行われれば、確かにボクシング界にとって大きなプラスである。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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