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ダブル熱帯擾乱が発生予想、台風となれば遅い台風3号に

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

ダブル熱帯擾乱(ねったいじょうらん)が発生予想

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

日本のはるか南の海上が少々騒がしくなってきました。タイトル画像にある通り、フィリピンの東方海上から南シナ海にかけて、熱帯収束帯に伴う雲域が活発化していて、このうち赤丸で囲んだ①②付近の雲域が今後、注目となりそうです。

上図のように、気象庁発表のきょう13日(土)午前3時の実況天気図では、まだ何も熱帯擾乱(ねったいじょうらん)は解析されていませんが、あす14日(日)午後9時までには、①の雲域付近で熱帯低気圧が発生し、②の雲域付近で低圧部が発生する予想で、いわばダブル熱帯擾乱の発生ということになりそうです。ここで低圧部とは雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱のことで、中心付近がハッキリと推定出来るようになると、熱帯低気圧に呼び名が変わります。

ダブル熱帯擾乱のうち、②の低圧部は、あまり発達することなく、中国大陸南部へ進む計算が多くなっていますが、①の熱帯低気圧は今後発達する計算が少しずつ増えてきている状態です。

少数派ながら台風として北上する計算も

アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)

参考までに、上図は日本のアンサンブル予報の一部を抜粋したものですが、①の熱帯低気圧が北上しつつ徐々に発達し、来週末にはフィリピンの東から沖縄の南へ北上してくる計算です。ただこのような計算は全体の1割程度で、まだかなり少数派ではありますが、諸外国のモデルの中には、この予想よりも、もっと勢力を強めて北上させる計算も見受けられるため、今後の振る舞いに要注目です。

またもし台風となれば、台風3号となり、台風3号の発生日時としては、1951年の統計開始以来、かなり遅い方となります。(関連記事

小笠原東方の低気圧は?

雲の様子(ウェザーマップ)
雲の様子(ウェザーマップ)

日本の東海上に発生していた低気圧は(関連記事)、昨夜12日(金)午後9時の解析より、天気図上からは姿が消えました。ただきょう13日(土)午前9時の雲の様子をみると、赤い丸の中に、活発な積乱雲を伴った雲の渦がわずかながらに確認できます。

この位相は、これまでの予想通り、今後も西進を続け、小笠原近海を通って、来週には日本の南へ進んでくる見込みです。ただ熱帯低気圧に変わるなど、発達を見込む計算はかなり少なくなりました。とはいえ、暖湿流として、日本の南から沖縄方面へ進んだり、本州付近へ流れ込んでくる計算もありますので、今後もこの位相の動きには注意が必要となるかもしれません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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