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シーズン後半戦OPSは驚異の10割超え!アルバート・プホルスに期待したい現役続行と通算700本塁打

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
シーズン後半戦は打撃絶好調のアルバート・プホルス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【プホルス選手がマルチ本塁打を放つ活躍で勝利に貢献】

 昨シーズン途中まで大谷翔平選手のチームメイトだったこともあり、日本でも馴染みの深いアルバート・プホルス選手が、現地時間の8月14日のブルワーズ戦に「5番・DH」で出場し、今シーズン2度目のマルチ本塁打を放つ活躍でチームの勝利に貢献した。

 これで通算本塁打数を689まで伸ばし、これまでベーブ・ルース選手、ハンク・アーロン選手、バリー・ボンズ選手の3人しか到達していない通算700本塁打まであと11本に迫った。

 シーズン後半戦に入りプホルス選手は、往年の打撃を彷彿させるような成績を残しており、残り48試合でどこまで本塁打を打てるかに注目が集まるところだ。

【42歳以上でシーズン2度のマルチ本塁打は史上3人目】

 カージナルス広報が試合後に発表した資料によれば、プホルス選手のマルチ本塁打は自身通算63回目のことで、最多記録でウィリー・メイズ選手に並びMLB史上5位にランクした。

 また42歳以上でシーズン2度目のマルチ本塁打を記録したのは、1991年のカールトン・フィスク選手、2007年のボンズ選手に次いで3人目の快挙であり、42歳210日でのマルチ本塁打達成は、史上6番目の高齢記録だという。

 さらに今回のマルチ本塁打で今シーズンの本塁打数を10に乗せたことで、2桁本塁打を記録したシーズンが21回目となり、スタン・ミューシャル選手、ボンズ選手と並び史上3位に並んでいる。

 まさにプホルス選手にとって記録ずくめの1日となった。

【シーズン後半戦のOPSは驚異の10割超え!】

 すでにご承知の方も多いと思うが、プホルス選手は古巣カージナルスに復帰が決まった際、今シーズン限りでの現役引退を表明している。

 昨シーズンは開幕から打撃不振が続く一方で、同じDHを任される大谷選手が台頭したことで、シーズン途中でエンジェルスを解雇され、その後ドジャースと契約し85試合に出場し12本塁打を記録しているものの、長打率は.460に止まり、往年の打撃はすっかり影を潜めていた。

 今シーズンからユニバーサルDH制が採用されたことで、ナ・リーグのカージナルスでもある程度の出場機会が与えられる中、シーズン前半戦は打率.215、6本塁打、20打点で、OPS(出塁率と長打率を足したもの。8割以上で強打者だと言われる)も.676と、現役最後の思い出作りと言われても仕方がないような成績だった。

 ところがシーズン後半戦に入った途端、プホルス選手の打撃が一変しているのだ。

 ここまで13試合に出場し、打率.389、4本塁打、10打点を記録するとともに、OPSも驚異の1.242と、まさにピーク時に匹敵するような成績を残しており、現役生活を終えるような打撃とは到底思えない活躍を続けている。

 しかもこの日プホルス選手が放った2本目の本塁打の飛距離は439フィート(約134メートル)まで達しており、今シーズン本拠地ブッシュ・スタジアムで記録した本塁打の中で2番目の飛距離だった。明らかにパワーも健在で、往年に近い打球を打っていることが理解できる。

【選手、ファンにとっても通算700本は夢の記録】

 すっかり打撃好調のプホルス選手だが、この調子をどこまで維持できるかは誰にも分からない。ただ残り48試合でもう少し本塁打を増やしてきそうなのは間違いないだろう。

 ただ毎試合先発出場していない状況を考えれば、残りシーズンで11本塁打を放つのはかなり難しいと考えるべきだ。公式戦終了時点で通算700本塁打まで何本まで迫れるか、というのが現実的だろう。

 ただ通算700本塁打は選手のみならず、ファンにとっても夢の記録だ。さらにプホルス選手のシーズン後半戦の打撃を見せられてしまっては、ファンも記録達成までプホルス選手に引退して欲しくないと思うのは当然だろう。

 むしろ現在の打撃なら年齢に関係なく現役を続けるべき選手だし、シーズン後半戦の打撃ができている自分に、プホルス選手自身も手応えを感じているのではないだろうか。

 とにかく今は残りシーズンで少しでも多くの本塁打を積み重ねてもらって、シーズン終了後にプホルス選手の中で心境の変化が起こることを期待するばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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