日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、69失点も前向き?【ラグビー旬な一問一答】
4年に1度あるラグビーワールドカップ(W杯)の日本大会開幕まで1年を切って迎えた11月3日、日本代表は東京・味の素スタジアムで同大会2連覇中のオールブラックスことニュージーランド代表と激突。同カード最多の5トライを記録も、31―69で屈した。
華やかな得点シーンを演出した一方、接点でのレフリングへの対応やタックルに苦しんだ。攻守逆転直後の失点も喫した。
2016年秋就任のジェイミー・ジョセフと2015年のW杯イングランド大会で主将だったリーチ マイケルキャプテンは何を思ったか。試合後の会見で語った。
以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
ジョセフ
「コメントは手短にさせていただきます。今回の結果は残念に思いますが、選手たちの意気込み、意図にがっかりしているわけではありません。オールブラックスから5トライを取れたことはいい兆しですし、成長の証です。前回の世界選抜戦で浮上した課題もしっかりと克服でき、実践に移せたのが喜ばしい。特にスクラムです。ワールドカップへは、ティア1の(強豪)国に勝つにはさらなるチーム強化が必要だとは感じています」
リーチ
「こんばんは。まず初めに多くのファンが味の素スタジアムに来てくれたこと、感謝しています。きょうの試合では、世界の厳しさがよくわかりました。自分たちの練習のなかでも厳しくやっているつもりでしたが、もっと厳しくやらないといけないのが改めてわかりました。前にも言いましたが、この試合をやって新しい課題が出ると思っていました。この試合をやって、どう世界のトップチームに勝つか、課題も反省点もできた。これからの準備をよりよくできると思います。チームのメンタリティーは強化しているなか、スタートの時点ではよりよくできたけど、ソフトなトライが多すぎて、これからそれをどう治すかを取り組んでいきたいです。次の試合のイングランド代表戦。チームを盛り上げて、イングランド代表、次のロシア代表を倒して帰ってきたいです(後述)。ありがとうございました」
――5トライを奪えたことなどをどう評価しているか。
ジョセフ
「まずスコアできたということは、アタックするマインドセットで挑めたことの現れ。相手を構えず、見ず、こちらで仕掛けていけたのがよかった。ベストチームが相手だと受け身になれば後手を回る。そのため、こうした(能動的な)入りができたことはよかった。ミスをしたら失点に繋がることは顕著に現れた。それでもプロ集団を相手に冷静さを失わずにしっかり戦ったことは評価できる」
リーチ
「試合を通してブレイクダウン(攻撃中の接点)のところは言い続けていた。ブレイクダウンでスローボールにされると自分たちがプレッシャーを感じるので。あとはレフリーともコミュニケーションを取って吹いてもらいたかったですけど、なかなか自分の予想通りにはいかなかったです」
――リードされて迎えた後半にどう気持ちを入れ直したのか。
リーチ
「後半に気持ち入れ直すとかじゃなしに、80分、アタックをするというマインドで行きました」
――自軍ボールがターンオーバーされたシーンについて。
リーチ
「相手の戦術もあって。タックルしたらそのまま(ボールを)掴んできて、自分たちがボールをリリースできない…。そこに対応しきれなかったのが反省です」
――防御はどう見るか。鋭い出足で前に出ながら抜かれたが。
リーチ
「ラインスピード(防御の出足)はすごくいいと思っています。相手のスタンドオフとも喋ったら、『かなりプレッシャーがかかっている』と。ただ、こっちがちょっとしたミスタックルをしたら相手が簡単にオフロードで繋いできたり、自分たちがボールを落としてそれを相手が1秒で拾ってトライを取ったりしていた。ソフトなトライで、相手の安心できる時間が増えました。これでもっと相手がソフトなトライができなかったら(日本代表は)もっといい展開にできた」
――フィットネスへの手応えは。
リーチ
「かなり前からたくさん走ってきて、十分あると思う。ただワールドカップなどで勝つためにはまだまだやらないと意見ない。いまの時点では十分ですけど、世界一のチームに勝つにはもっと上げないといけない」
――収穫と課題は。
ジョセフ
「どこがポジティブでどこが課題か。ピンポイントでこれだと断言するのは難しい。なぜかというと、(レメキ、松島ら)6名のキーメンバーに怪我が出ていてベストな状態で挑めていない。いまいる選手のなかで今回の構成をしたのですが、コンビネーション、自信について、色々と本領発揮ができないところがあったりする。とはいえ今日のゲームを見てみて、こういうゲームに対していいアティチュードを持って戦えたことは嬉しく思っています。なぜかというと、オールブラックスは相手が誰であろうが毎回こういう試合展開をできる。一瞬でも相手がミスをすると、そこからも得点までもっていけるチームなので。それに対し、ここまでできたのは嬉しく思っています。最後のプレーでパスが繋がっていれば、6トライになっていた。そこまでできるチームになったというところは、うれしく思います」
このカードの対戦成績が0-74、4-106(以上1987年)、17―145(1995年)、7―83(2011年)、54―6(2013年)だった歴史を振り返れば、「善戦」と捉えられそうか。もっとも控え組主体だった相手にもミスが多かったことなどを鑑みれば、口惜しさが残る。
チームは現地時間17日に敵地で世界ランク4位のイングランド代表と、同24日にはイングランド・グロスターにおいて同19位で本番の開幕戦でもぶつかるロシア代表とそれぞれ対峙する。