きゅうりを干しておいしいの?干すと生より歯ごたえあっておいしい!お酒のつまみや夏休みの自由研究にも
ハウス食品の食品ロス調査で、家庭で最も食品ロスになる食品の1位はきゅうりだった。
農林水産省の食品ロスの統計調査でも、家庭で食品ロスになる食材のトップは、圧倒的に「野菜」だ。
生産地では大量にとれるので、ついワンパターンの食べ方になり、食べ飽きてきたりする。そんなとき「きゅうりを干す」という方法がある。
きゅうりを干しておいしいの?
料理研究家の有元葉子(ありもと・ようこ)さんの著書に『「使いきる。」レシピ』(講談社)というのがある。ここに、『「干す」という知恵』という項があり、きゅうりの「半干し」が、しこしことして歯ごたえがよく、おいしい、と紹介されている。
今まで一度もやったことがなく、興味はありつつも、「きゅうり干しておいしいのかなあ」と、半信半疑な気持ちだった。
ところが、長野県に住んでいる身内から、山のように自家製きゅうりが送られてきた。
とれたてのきゅうりは、「とげとげ」がしっかりしていて、やわらかく、野菜スティックにして、味噌マヨネーズでポリっと食べるのがおいしい。
でも、いくらなんでも10本以上あれば、そればかりでは食べ飽きてくるし、日持ちもしない。
そこで、生まれて初めて、きゅうりを干してみた。
ざるの上できゅうりを干す
きゅうりを、厚みが5mmくらいの、斜めの輪切りにして、ざるの上に並べて、ベランダに置いておいた。
有元葉子さんによれば、「からりと晴れた日に屋外に干すのが理想だが、天気が悪ければ、切ってざるに並べて室内に置いておくだけでも、野菜の表面が乾いた半干し状態になる」という。
ちょうど天気もよかったので、ほどよく乾いた。
これを、ボウルに入れて、胡麻油・酢・だし醤油を混ぜた調味液に浸けて、しばらく冷蔵庫に置いておいた。
ちょうど夕飯どきに、鷹の爪(赤とうがらし)を輪切りにしたものをかけたら、おかずやお酒のつまみの一品になる。
流れとしても、シンプルで簡単だ。
一度、半干しきゅうりのおいしさを知ると、今度は生だと歯ごたえがあまりなくて物足りなくなるくらいだ。
簡単なので、何度もやってみた。あまり厚く切らないほうが、乾きやすい。一度、分厚く切ったら、なかなか乾かず、失敗してしまった。
半干しきゅうりは、漬物にするほか、豚肉と炒めてもおいしいそうだ。
固定観念や思考停止からの脱却でおいしく食品ロスが減らせる
半干しのきゅうりが予想以上においしかったので、調子にのって、同じレシピ本に載っていた「きゅうりのドライカレー」というのもやってみた。これも、「きゅうり炒めておいしいの?」と半信半疑だったが、ひき肉に絡めたカレー粉の香りも食欲をそそり、おいしく食べられた。ほかにもナスやズッキーニ、モロッコいんげんなども使ってみた。
これは一例だが、「きゅうりはサラダか野菜スティックのみ」と考えていると、そこから発想がまったく広がらない。「干す」という選択肢は、夏の季節にもぴったりだと思う。
家庭で食品ロスにしやすい食材には、他にも調味料がある。これも、実はケチャップは薄めると「だし」として使える、とか、ナンプラーは魚醤なので、冷奴や味噌汁の隠し味にも使える、など、固定観念にしばられなければ、最後まできっちり消費することができるようになる。
今年は夏休みが短くなる学校も多いかもしれないが、夏休みに子ども自身が取り組む研究テーマとして「食品ロス」はうってつけだ。家の冷蔵庫の中の食材の賞味期限や消費期限を調べてみるのでもいい。きゅうりを干す、のように、今まで家族の誰も干したことのない野菜を干してみるのもいい。
コロナ禍で、今ある食材を上手に使いきる工夫の必要性を体感した人も少なくない。ぜひ、一度やってみて、「半干し」のおいしさを味わってほしいと思う。