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野宮真貴、60にして立つ 自身初のファンクラブ設立「今一番必要なのはトキメキを共有できる“場所”」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/SMA

「還暦はゴールではなくスタート」――還暦ライヴで共演した鈴木雅之の言葉に共感。「まだまだ歌っていきたし、新しいことにどんどん挑戦していきたい」

3月12日で還暦を迎えた野宮真貴。それを記念したライヴ『野宮真貴、還暦に歌う。~赤い口紅の女と黒いサングラスの男たち~』を8月19、20日ビルボードライブ東京で、それぞれ鈴木雅之、横山剣(クレイジーケンバンド)をゲストに迎え、行なった。「還暦はゴールではなくスタート」、先輩・鈴木雅之の言葉に刺激を受けた野宮は「数年前まで『還暦までは歌います』って言っていましたが、まだ全然歌えるし、ライヴもやりたいし、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいという気持ちになりました」と語っていた。有言実行、野宮は早速動いた。それはファンクラブの設立だ。今までなかったのが不思議なくらいだが、なぜ還暦にして自身初のファンクラブをスタートさせようと思ったのか、その真意を聞いた。

「トキメキを共有できる場所を作りたかった」

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「コロナ禍ではもちろん心身ともに健康であることが一番大事ですけど、もうひとつ足りないと思ったのは、例えばライヴを観た時などに感じるトキメキだと思いました。人には美しいものに触れたり、素敵な音楽を聴いたり、感動することが必要です。それが生きる糧になって毎日を過ごしていける。それを担っていたのが音楽や映画や演劇などのエンターテインメントだと思います。それが自由に楽しめなくなったことはすごく大きくて、だからそのトキメキみたいなものをお裾分けするひとつの方法が、還暦ライヴでした。これからまだまだコロナと付き合っていかなければいけない日々が続きます。当然ライヴも今までのように自由にできないかもしれないですし、そうなった時に、やっぱりファンクラブで配信ライヴやったり、みなさんとファッションの話したり、時には一緒にお酒を飲んだり、そういうトキメキを共有できる“場所”を作りたかったんです」。

「今を楽しむために何をすべきかを、これまでの経験を踏まえて、多くの方とシェアできれば」

60歳からファンクラブ!?というと、インパクトがあるかもしれないが、それは近年の野宮の活動を鑑みての“タイミング”でもあった。

「この5年くらい本(『おしゃれはほどほどでいい』『赤い口紅があればいい』、電子書籍『おしゃれかるた』)を出版したり、口紅をプロデュースさせていただいたり、ミュージシャン以外の活動をしていく中で、ピチカート・ファイヴや私のソロのファンではなかった新しいファンの方もありがたいことに増えてきました。私が今までステージに立つために実践してきたこと、それはファッションセンスを磨くことや、体型を維持する方法やメイクのテクニックとか、無理をしないで心も体も健康になる方法とか、それをお伝えすることで、女性の皆さんに“今”を楽しんで欲しいと思ったからです。もちろんその考え方は男性も同じです。今を楽しむために何をすべきかを、これまでの経験を踏まえて、多くの方とシェアできればと思いました。これは私のエッセイにも書いたことですが、今、世の中の女性を見て思うことは、みなさん真面目に素敵に生きていらっしゃるんだけど、“準備ばかりしている”印象があります。ダイエットで3ヶ月後に何キロ痩せるとか、美容のためにエステに足繁く通うとか、もちろんそういった気持ちや努力は大事なんですけど、同時に“今を楽しむ”とか“なんとか今の自分のベストを作る”ことが大切だと思うんです。未来のために“今”を犠牲にしすぎないというか」。

「“今の私は案外悪くない”っていつも思えるように生活をするための心構えや、技術をお伝えできたら」

「私は職業柄、どんな状態であっても、なんとか自分の今のベストを作って、人前に出ないといけない。だから加齢で肌がくすんできたら、赤い口紅を差したり、白いシャツを着てレフ板効果で肌を明るく見せたり……。そういったテクニックやいい意味での“ごまかしが”得意になるんですね。だからそんなノウハウもみなさんにお伝えしたいと思って。だって今を楽しまないとどんどん歳をとってしまいますからね、本当にもったいない。“今の私は案外悪くない”っていつも思えるように生活をするための心構えとか、技術をお伝えできたらなと思って。それと、私のもうひとつの座右の銘は“健やかに美しく幸せに”です。それをファンの人たちとシェアしたり、還暦になって、私なりにアドバイスできることもあると思います。インスタでも8年間毎日続けている『東京は夜の七時』というコンテンツがあるのですが、そこで書き切れないことを、デラックスバージョンとしてサロンで公開したり、日々ファンの方とつながっていられるといいなと思っています。色々な企画で皆さんと一緒に盛り上がっていけると思いますし、コロナ禍だからこそ楽しくつながっていたいです」。

音楽とおしゃれでつながるモバイルファンクラブ『おしゃれ御殿』。「野宮真貴」の部屋をのぞいてみると…

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この『おしゃれ御殿」と名付けられた“音楽とおしゃれでつながる“モバイルファンクラブ=サロンには、色々な“野宮真貴の部屋”があり、LOUNGE「ラウンジ“miss maki nomuya”」、CLOSET 「あの頃わたしが着ていた服」、MOVIE 「スペシャル・ムービー」、Q&A「おしゃれ相談室」、KARUTA ROOM「一日一かるた」、7PM DIARY「東京は夜の七時DX」、ボイスメッセージ「愛のメッセージ」等、様々なコンテンツが用意されている。

「CLOSETでは私が子供の頃から今まで着てきた洋服を、衣装も含めて写真やイラストで紹介します。私にとって服を語ることは、人生を語ること。野宮真貴を作りあげた服と思い出を綴っていきます。Q&Aはオシャレのことはもちろん、仕事や恋、健康の悩みにもお答えします。ラウンジでは、おしゃれや美容のテクニックをご紹介したりしていこうかと」。

「これからの時代は、これまで以上に、一緒に助け合って生きていく、“共生”ということが本当に大切」

還暦を新たな人生の始まりと捉え、これまで以上にアクティブに行動していくと宣言した野宮だが、早速来年はデビュー40周年という節目を迎える。そんな中で、これから心がけていきたいことがあるという。

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「まずは来年に向けては、体力と筋力鍛えて、ヒールを履いても美しく立てる体幹を作っていきたいです。ヒールが履けなくなったら、理想の衣装が完成しないので、そこは頑張りたいです。来年はデビュー40周年ということで、アルバムやエッセイ、ライヴを計画していますが、やっぱり身体が資本ですからね。それから、これまでもそうでしたが、これからはさらに色々な人の力を借りて、長く楽しく歌っていきたいと思いました。マーチンさんに『縁を大事にしろ』とアドバイスしていただいて、ひとり一人と一つひとつの仕事を大事にやっていくと、それがつながっていくと教えてくださいました。そういう意味でも、ファンクラブもみなさんの力をお借りするというか、お互いにフィードバックが絶対にあると思っています。これからの時代は、これまで以上に、一緒に助け合って生きていく、“共生”ということが本当に大切。コロナ禍では、“健やかに美しく幸せに”生活していくために、一緒に楽しんでいけるコミュニティが一番必要なものだと思います」。

「“おしゃれメイツ”と一緒に素敵に歳を重ねていきたい」

「私はライヴでの最後のMCで『一緒に素敵に歳を重ねていきましょう』ってよく言うんです。毎年のようにライヴにいらっしゃるファンの方々はいつもおしゃれをして来てくれて、音楽を一緒に楽しんでくれる。ファンというよりも、仲間というか一緒に年齢を重ねていく同志のような存在なんです。だからライヴが思うようにできなくなっても『おしゃれ御殿』でつながりながら、毎日を過ごしていければと思っています。これからは『おしゃれ御殿』会員の人たちを“おしゃれメイツ”って呼ばせていただこうかなって思っています(笑)。“おしゃれメイツ”がいれば歳をとるのも怖くないというか、一緒に素敵に成熟した女性(男性も!)になっていけるような“サロン”に育てていきたいと思っています。ピチカート・ファイヴの『マジックカーペットライド』という曲の歌詞で、<いつまでもふたり 遊んで暮らせるならね おなじベッドで 抱き合って 死ねるならね>という素敵な歌詞があるんですけど、それが『おしゃれ御殿』の理想ですかね。私も歌声が変わらない限りシンガーでいたいと思うし、それを聴いてくれる“おしゃれメイツ”がいつもそばにいてほしい。歳をとっておばあちゃんになってもライヴをするためには、やっばり助け合っていかないとね。みなさん一緒に素敵に歳を重ねていきましょう」。

『おしゃれ御殿』は、全国のファンたちがスマホを使って月額1コイン(¥500)で気軽に野宮の情報をいち早くゲットできることはもちろん、“人生には音楽とおしゃれがあればいい”、そして“健やかに美しく幸せに”をモットーにこれまで美しく、そしてしなやかに生きてきた野宮が、人生を楽しむヒントを教えてくれる“トキメキのある場所”だ。

『おしゃれ御殿』

野宮真貴 オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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