Yahoo!ニュース

明大学園祭での「自衛官募集」にOB・OGらが学長に抗議と公開質問状を送付!

篠田博之月刊『創』編集長
学園祭で堂々と自衛官募集が(明大土曜会提供)

 学園闘争の嵐が吹き荒れた1960~70年代からもう半世紀以上が過ぎ、学生運動といっても「何それ?」という反応が返ってくるのが昨今の大学キャンパスだが、そうはいってもいくら何でもやりすぎでは?と問題になっているのが明治大学だ。

 かつては学生運動の拠点だった同大学だが、その和泉校舎で開催された学園祭「明大祭」で、2024年11月3日、何とキャンパスで堂々と「自衛官募集」のブースが設置され、募集活動が行われていたというのだ。

堂々と「自衛官募集」ののぼりが(明大土曜会提供)
堂々と「自衛官募集」ののぼりが(明大土曜会提供)

 

「明大祭」の光景(明大土曜会提供)
「明大祭」の光景(明大土曜会提供)

 それを問題視し、学長に抗議と公開質問状を送ったのは明大OB・OGらで作られている「明大土曜会」。かつて明大は共産同(ブント)の拠点で、そこから分裂して赤軍派などが生まれるのだが、そこで活動していたのがその後パレスチナに渡った日本赤軍最高幹部の重信房子さんだ。その重信さんも参加している集まりが「明大土曜会」で、今も定期的に集まっているという。

 どの大学でも管理強化が進んで学生自治など存在しなくなったと言われるご時世とはいえ、さすがに大学キャンパスで「自衛官募集」はひどすぎるという声があがったようだ。

12月13日に同大学長宛てに送られた抗議文と公開質問状をここに全文公開しよう。

 ちなみに今回の件を知らせてきたのは重信房子さんで、彼女はいま、月刊『創』(つくる)で「ただいまリハビリ中」という連載を行い、先頃、それをまとめた『ただいまリハビリ中  ガザ虐殺を怒る日々』という本を上梓した。パレスチナでの闘いと投獄を経て50年ぶりに市民社会に復帰した日々をつづっているのだが、その中でも「明大土曜会」の話は頻繁に登場している。

 その明大土曜会によって今回発出された学長宛て文書を、以下、紹介しよう。

《明治大学学長 上野正雄殿           明治大学土曜会

明大和泉校舎における「自衛官募集」ブース設置への抗議と公開質問状

 私たちは15年前に設立した、明治大学OB・OGによる親睦団体「明治大学土曜会」です。2024年11月3日、「明大祭」が行われた和泉校舎キャンパスに「自衛官募集」のブースが設置されたことに、強く抗議し、以下の公開質問状を送ります。

 質問状への回答は2025年1月31日までに送付いただきたい。

【抗議】

・2024年11月3日、「明大祭」が行われた和泉校舎キャンパスで「自衛官募集」のブースが設置されたことに、強く抗議する。

・明治大学は2017年に発表した「社会連携ポリシー」に学問・研究の目的として「環境保全・平和利用」を掲げ、「軍事利用・人権抑圧等、平和に反する内容を目的とする研究・社会連携活動を一切禁止する」と宣言しています。にもかかわらず、今回の「自衛官募集」ブースの設置は、この「宣言」を明らかに逸脱した行動で、キャンパスを“軍事利用”の場に提供する「社会連携」と言わざるをない。

・全国の大学に先駆けて発表した「社会連携ポリシー」の理念を、いかなる経緯と理由で逸脱して行ったのか。以下の公開質問に回答いただきたい。

【公開質問】

①「自衛官募集」ブースの提供は、いつ、どの機関・団体からの要請だったのか。

②要請を受けたのは明治大学のどの部署なのか。どういう議論をしたのか。

③「自衛官募集」のブース設置を受諾・決済したのは上野正雄学長か。

④「自衛官募集」ブースの設置は明治大学の「社会連携ポリシー」に反していると思うか。逸脱していないとするならば、その根拠は何か。

 以上の質問に誠実な回答を求めます。2024年12月13日》

 

 果たしてこれに対して大学当局はどんな対応をするのだろうか。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

篠田博之の最近の記事