メッシの「マネジメント」は難解なのか?揺れるバルサに次期会長選とサラリーキャップ問題の行方。
バルセロナが、揺れ続けている。
昨季のバイエルン・ミュンヘン戦の大敗(2-8)、リオネル・メッシの退団騒動、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長の辞任...。クラブは1月に次期会長選を行う予定だが、混沌とした状況は変わっていない。
そんな中、現在話題を呼んでいるのがキケ・セティエン前監督の発言だ。
■セティエンの発言
「メッシは史上最高の選手だと思う。ただ、メッシをマネジメントするのは簡単ではない。彼は保守的な性格だ。しかし、こちらは彼の視点で物事を見るようになる。メッシや他の選手たちを正当に評価するための十分な時間を私は過ごした」
これに対して、ロナルド・クーマン監督は「セティエンの意見は尊重するが、私にとってメッシはマネジメントが難しい選手ではない。世界最高の選手であり、毎日彼の向上心を感じている」と一蹴した。
だが、今季のメッシは好調とは言い難いパフォーマンスに終始している。リーガでは、5試合連続0得点0アシスト。これは2006-07シーズン以来、およそ14年ぶりの出来事である。
メッシの得点数とアシスト数はバルセロナのバロメーターだ。事実、今季のバルセロナはリーガで調子が上がらない。クーマン・バルサはここまでリーガ6試合で2勝2分け2敗。就任一年目としてはリヌス・ミケルス監督(1971-72シーズン)以来最悪の成績となっている。
■クラブとお金の事情
決定力解消のため、クーマン監督は1月の移籍市場でのリヨンのメンフィス・デパイ獲得を望んでいる。だが、新たな会長が決まっていない状況で、思うような補強が敢行できるとは考えにくい。
また、バルセロナは2020-21シーズンの予算を調整するために選手たちのサラリーカットに向けて交渉を続けている。サラリーキャップの制度で、リーガの各クラブは選手とスタッフの総年俸を70%に抑えなければいけない。バルセロナは選手たちのサラリーを1億9000万ユーロ(約228億円)前後減らす必要があるといわれている。
バルセロナの管理委員会会長であり暫定的に会長職を引き受けているカルラス・トゥスケッツ曰く「誰からもお金を奪いたくない。時期を調整して適切なサラリーを支払いたいと考えている」ということだ。
一方、メッシの現行契約は2021年夏までとなっている。この件についてトゥスケッツ氏は「スーツを半分着るような真似はしたくない。類似のケースに対応できるストラクチャーを構築したい。選手たちやスタッフと問題を解決して、全員が納得する結果にしたい。メッシとの交渉の仕方を具体的に話すのは避けたい。だが、十分な材料は揃っている」と話している。
メッシのマネジメント、もっと言えば、クラブのマネジメントが危機的なシチュエーションに陥っている。それがバルセロナの現実だろう。しかしながら、スポーツ的側面における結果は求められる。ビッグクラブになったバルセロナの苦悩は続く。