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育児でヘトヘトな時、救われるのは五感が喜ぶ一瞬の心地よさ

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

自分らしい暮らしを選ぶ、藤原友子です。

私の子どもは現在高1、中2、小6、小4の4人。今はゲームやスマホの使い方、体の不調、友達のこと、習い事、勉強や進路のことなど以前に比べたらが子育ての心配事が大きく変わり、少し楽になった感覚はあります。

しかし4人が0歳、2歳、4歳、6歳の頃は、毎日ご飯を食べさせるだけでヘトヘト、子育て支援センターやスーパー、病院に出かけただけでぐったりでした。

特に末っ子が生まれてからは大変でした。末っ子は癇癪を起こすと私の腕を噛む癖があり、当時の私の左腕は末っ子の歯形のあざだらけ。追い詰められて泣きながら市の相談窓口に電話をしたこともあります。

育児が大変に感じる原因は、24時間が自分のペースで進まないこと。時間の主導権を自分が握りたくても握れないことが苦しくなる原因です。

何時に家を出発しようという些細な計画さえも子どもの都合で簡単に崩壊するし、「自分の食事や睡眠、排せつ」という健康に過ごすために当たり前なことさえ自分のペースでできません。

そんな思い通りにいかない時に、自分の家が散らかっていたらイライラするし、SNSで同じ年齢くらいの小さな子どもがいるのにおしゃれに暮らしている様子を見ると、なんて自分はダメなんだ、どうせ私には無理と思い落ち込むことがあります。

そんな時に大事にしてほしいのは、子どもが主役ではなく、自分が心地よいと感じる瞬間を、暮らしの中に一つでもいいから存在させることです。

育児中は、自分の五感も子ども中心に働いてしまう

育児中はすべて子どもが中心で回るため、お母さんの五感

子どもの肌はかぶれたり乾燥していない?寒くない?(肌で確かめる)
このニットの肌触りはいいかな?(肌で確かめる)
ウンチをしたかな?(匂いで確かめる)
このおかずは子どもに辛すぎない?熱すぎない?(舌や肌で確かめる)
子どもが泣いていないか、何かを求めていないか、安全か?(耳や目で確かめる)
子どものおもちゃはわかりやすいところに置こう(目で確かめる)

というように、子ども中心に働きがちです。

それが母性というものなのでしょうが、子どものために全力で動く24時間は大変。

そこで、お母さんたちには、時には自分の五感を子どものためだけではなく自分のために使い、ストレスを少しでも減らしてほしいと思います。

<視覚>子どものカラフルなモノばかりでおしゃれな生活ができない!

子どものモノは、カラフルなモノばかり。子どもの視力や認知機能を発達させるための役割もあるとわかっていても、大人からはごちゃごちゃして見えます。

人は情報の約80%を視覚から取り入れるといわれています。「家の見た目」つまり自分が視覚から受ける情報はとても大切なのですが、どうしても子育て中はカラフルなモノも多く存在し、散らかるものです。

Sさん(小1.3歳のお母さん)は、いつもごちゃごちゃしたリビングが気になっていました。収納はアルミなどのツルツルして冷たさを感じるものばかりで気にはなっていたけど、買い替えるのもめんどうでそのままでした。

しかし、子どもが長々とぐずっていたり、細かいモノが散らかったり、自分の体調のすぐれない時には、リビングのモノを全部捨ててしまいたい衝動に駆られることもあったそう。

そんなSさんは、勇気を出し自分の好きな木目の柔らかいナチュラルな風合いの収納をおもちゃ専用に選び、買い替えることに。

すると、リビング全体が柔らかい雰囲気になり、そこで過ごす時間が少し好きになり、気持ちが落ち着く時間ができたそうです。

もちろん、イライラをゼロにすることはできません。でも家の中に自分で選んだ好きなモノを取り入れることで、子どもとの時間とは違う、自分だけの時間を感じることができるのではないでしょうか。

別に収納を買い替えるような大きなことでなくても、好きな絵や写真を飾ったり、窓の外に見えるお気に入りの風景を見つけたり、自分が見る世界に、たった一つでもいいから好きなモノを選ぶことは大切です。

目で見たり、触ったりする時に感じる質感を自分の好みすることは、自分自身を大切にすることにつながります。

いつもいつもすべてが子ども優先じゃなくても大丈夫。子どもの主な世話をするお母さんの好きを優先することは全く悪いことではありません。

私は、木や布のあたたかみのあるモノが好きです。家に自分の好きな人形を飾ったり、好きなぬいぐるみを集めたりすることを、節約をしながらも少しずつ楽しんできました。

好きな色の服を着たり、好きなメイクを楽しんだり、鏡に映った自分を見てテンションが上がるのも素敵ですね。

<聴覚>お母さんになったら自分の好きな音楽を諦めていた

我が家に流れるのは、童謡やアニメソングか子どもの泣き声・叫び声、自分の怒鳴り声、と言っていたMさん(2歳、3歳のお母さん)

確かに子どもが小さい時は、童謡やアニメの音楽を家で流すことが多いですが、車の中だけ、子どもが眠ってからとか、自分の好きな音楽を流す時間を確保しするのも大事です。

Mさんは家事がはかどるようにと、これまで我慢していた大好きなアイドルグループの音楽を夕方流すようになりました。

また、いつも家ではアニメソングが流れっぱなしなのが嫌だったEさん(5歳の双子のお母さん)は、あえて音楽を止めることで、外から聞こえる音や鳥の鳴き声など自然の音に子どもと気づくようになったそうです。

子育てをしていると、子どもが心地よく快適に過ごしたり、それができているかどうかを確かめるために耳が常にアンテナをピンと張った状況になりますが、24時間はやってられません。

お母さんの自分の耳と心が喜ぶ時間を、24時間の中に少しでも作ってあげたいものです。

<香り>やっとコーヒーの香りを感じることができた

Nさん(1歳、3歳、5歳のお母さん)は、私と一緒にキッチンを片づけたことで、買ったけど置くスペースがなくしまったままだったコーヒーメーカーを置くことができました。

料理が焦げていないか?子どもがウンチをしていないか?というようなことに、鼻をクンクンさせるような毎日でしたが、

相変わらず散らかることがあるし、ドタバタしているけど、お気に入りのコーヒーメーカーでコーヒーを淹れる時の香りが、毎日頑張っている自分へのご褒美に感じたようです。

人にとって好きな香りは様々です。自分の落ち着く香りを知っていることで、香りを生かしてリラックスしたり、エネルギーをチャージすることができます。

私が片づけビフォー・アフターの写真を公開しない本当の理由

私は、片づけのサポートで子育て家庭に行くことがありますが、最近はビフォーアフターの写真を公開することは、ほとんどありません。

理由は、ビフォーとアフターの写真の間にある時間が一番大切で、その人が向き合った心の葛藤、思いは写真だけでは伝わらないというのが一つと、

写真を公開しても、受け取る側は視覚情報を手にするだけ。

そこには先ほど挙げたような肌で感じるぬくもり、大好きな香りや音など五感で感じることはなく、見た目だけのキレイさで判断されることは、時として誤解を生んだり、「こうしなくちゃいけない」「私も頑張らなくてはいけない!」という誰かのストレスになることもあると思ったからです。

SNSで簡単に人の暮らしが見える今、上手に参考にしたり、活用できるのが理想ですが、気を付けないとつい人と自分を比べて落ち込んでしまいます。

事実、私のもとには「どうして自分の家だけは片づかないのだろう」「あの人のマネをしても無理だった」という声がここ数年多いのです。

キレイをゴールにしなくていい

私は4人の幼い子を育てていた30代の記憶が正直あまりありません。

大変だったことはたくさん思い出すのですが、子どものかわいい顔や声などは、写真や動画を観ることで思い出します。

出かけたいときに出かけられない、食べたいときに食べられない、寝たいときに寝ることもできない、トイレさえ我慢することもある、一体どうなってるんだ!!とただただ24時間が自分のペースで進まないことに、イライラしていました。

すべてが子どものペースで進むのも、今だけのことと思えば乗り越えられるかもしれないけど、いつもそんなに穏やかな気持ちではいられません。

だから私は、お母さんたちには毎日散らかっててもいいから

お気に入りのモノを手にしたり、飾ったり、匂ったり、聴いたり、感じたり、自分の五感を自分のためだけに使う瞬間を楽しんでほしいと思っています。

末っ子がまだ0歳の頃の我が家
末っ子がまだ0歳の頃の我が家

そうすることで24時間は子どもペースではあるものの、そのどこかに自分を大切にする時間を確保できると思います。

そして、もう少し子供が成長して自分の時間ができた時は、その時気づいた心地よさを、もっと深めていけるようになります。

これは、今小さい子どもを育てているお母さんより、ちょっとだけ早く子育てがはじまったの私からのエールです。

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選ぶ暮らしラボ 藤原友子(ふじわらゆうこ) 

1975年生まれ 大分県在住 結婚後片づけを始める。長男との片づけバトルでモノを「選ぶ」ことの重要性に気づき、「選ぶ」から始める片づけや暮らし方を伝える活動中。

二男二女の母で「いつもキレイではないが、すぐに片づく家」で暮らしている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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