フランス代表はW杯で連覇を達成できるか?エムバペ、ベンゼマ、グリーズマン...豪華攻撃陣と中盤の不安
カタール・ワールドカップ開催の日が迫っている。今大会で、優勝候補の一角と目されているのが、前回王者のフランス代表だ。
フランスはディディエ・デシャン監督が現地時間9日にW杯に臨む25名のメンバーを発表。その後、追加招集を行ったが、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリー)といった選手が順当に選ばれている。
■堅守速攻のスタイルで戴冠
ロシア大会で、フランスは堅守速攻のスタイルで戴冠に成功した。
それはエムバペというヤングスターが誕生した大会でもあった。とりわけ、決勝トーナメント一回戦のアルゼンチン戦でエムバペが見せたスピードとPK奪取は世界中にインパクトを残した。
前線にはオリヴィエ・ジルーが構え、エムバペやグリーズマンを生かすために“汚れ役”となった。大会を通じてノーゴールに終わったジルーだが、彼がいなければフランスのタイトル獲得はなかったはずだ。
中盤では、エンゴロ・カンテ、ブレーズ・マテュイディ、ポール・ポグバが躍動した。特にカンテはまさに「水を運ぶ人」として悉くボールをカットして、攻撃陣にパスを繋いだ。最終ラインにはリュカ・エルナンデス、サミュエル・ウンティティ、ラファエル・ヴァラン、ベンジャミン・パヴァールが並び、「CB型」の4選手で相手のアタックを封じ込めた。
ただ、4年という歳月は選手と組織を変えた。
今大会に向けて、不安視されているのは、中盤のところだ。カンテ、ポグバ、マテュィディ、いずれも不在。カンテとポグバに関しては、負傷で大会に間に合わなかった。その代わりに、ヴェスレイ・フォファナ(21歳)、エドゥアルド・カマヴィンガ(19歳)、オウリエン・チュアメニ(22歳)、マテオ・グエンドゥジ(23歳)、アドリアン・ラビオ(27歳)、ジョルダン・ヴェレトゥ(29歳)と若い選手が多く呼ばれている。
「招集した選手を信頼している。ポグバとカンテの存在感については、周知の通りだ。だが、これが現実だよ。幸いなことに、呼んだ選手たちは最近の試合でプレーできている」とはデシャン監督の弁だ。
■豪華攻撃陣と共存
また、素晴らしい選手たちが揃っている前線においても、課題がある。ベンゼマ、エムバペ、グリースマンの共存の問題だ。
フットボールはコレクティブなスポーツだ。ディエゴ・マラドーナやペレのような選手が11人いても勝てるわけではない。全てはバランス、組織としての最適解を見つけられるかがテーマになる。
なかでも、注目はベンゼマだ。彼はマテュー・ヴァルブエナとの“セックス・テープ事件”があり、EURO2020の直前にデシャン監督と和解するまで、長くフランス代表から離れていた。
EURO2020では、ベスト16と結果を残せなかった。しかしベンゼマ自身は昨季、マドリーで46試合に出場して44得点をマーク、2022年のバロンドール受賞を果たしており、充実の時を迎えている。
「ワールドカップの意味するところを理解している。大きな喜び、誇りを感じている。始まるのが、待ちきれないよ」とはベンゼマの言葉だ。
「フランスの全国民が同じことを考えている。グループステージでは、突破の最有力候補だ。僕たちが隠れる必要はない。このチームには、多くのタレントが揃っている。ただ、フットボールは11対11のスポーツだ。対戦相手に敬意を払いながら、野心を抱かなければいけない。まずは最初の3試合で勝てるようにね」
「もちろん、優勝を望んでいる。みんなと同じようにね。でも、『ワールドカップでプレーしたい。優勝しなくちゃダメだ』と自分に言い聞かせることはできない。一人でプレーするわけではないからね。そういう重圧は無意味だ。僕はフランスを代表する選手だ。このチームにいるに値するプレーヤーだと証明したい」
フランスはデンマーク、チュニジア、オーストラリアと同組のグループDに属している。グループ突破が有力視されているのはフランスとデンマークだが、油断はできない。
王者の戦いが、始まろうとしている。