Yahoo!ニュース

怪我人の復帰に伴い、ドジャースは前々日に代打3ランのヘイワードをDFAに。他の選択肢はなかったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、T.ヘルナンデス、C.テイラー、J.ヘイワード Jun 29, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月22日、ロサンゼルス・ドジャースは、左の股関節を痛めていたクリス・テイラーを復帰させ、それに伴い、ジェイソン・ヘイワードをDFAとした。テイラーは、内外野を守る。ヘイワードは、外野手だ。それぞれ、右打席と左打席に立つ。

 前々日、ヘイワードは、同点の8回裏、2死一、二塁の場面に、キーケー・ヘルナンデスの代打として起用され、ホームランを打った。

 今シーズンは、63試合で打率.208と出塁率.289、6本塁打と4盗塁、OPS.682。代打の8打席は、8打数4安打、2本塁打と1三塁打を記録している。6月18日のホームランは、5点ビハインドの9回表、1死満塁から打った。こちらも代打。テイラーと交代した。その後、テオスカー・ヘルナンデスが3ラン本塁打を打ち、ドジャースは勝利を収めた。

 アクティブ・ロースターにいる、ドジャースの野手のうち、ギャビン・ラックスハンター・フェドゥーシアは、マイナーリーグ・オプションが残っている。ウェーバーを経由せずに、降格させることができる。だが、この2人は、二塁のレギュラーと控え捕手だ。フェドゥーシアが降格するのは、本来の控え捕手であるオースティン・バーンズが戻ってきた時だろう。

 キーケーとトミー・エドマンは、テイラーと同じく、内外野を守る。ケビン・キアマイアーとヘイワードは、どちらも外野を守る左打者だが、キアマイアーはセンターをメインとしている。ヘイワードも、センターを守ることはできるが、こちらはライトがメインだ。外野3ポジションのうち、センターは、キアマイアーとエドマンの2人。ライトには、ムーキー・ベッツがいる。レフトは、テオスカーの定位置だ。

 テイラーをロースターに戻すには、ヘイワードを外すしかなかった気がする。

 ドジャースは、Xに「ありがとう、ジェイソン、ハード・ワークとリーダーシップ、ドジャースのためにしてくれたすべてのことに」と書き込んだ。ウェーバー公示中にヘイワードを獲得する球団が現れるか、そうならなくても、ヘイワードは降格を受け入れずに退団する、と見ているようだ。

 ヘイワードは、シカゴ・カブス時代の2016年に、ワールドシリーズ優勝メンバーとなっている。シリーズ最後の第7戦に、カブスは、3点をリードして8回裏を迎えた。だが、2死一塁から登板したアロルディス・チャップマン(現ピッツバーグ・パイレーツ)が二塁打とホームランを打たれ、クリーブランド・インディアンズに追いつかれた。

 同点のまま、試合は延長へ。9回裏と10回表の間に、雨による17分間の中断が生じた。その時、ヘイワードは、選手だけをウェイト・ルームに集め、スピーチを行った。直後の10回表に、カブスは2点を挙げた。なおも1死満塁の場面で、ヘイワードは三振を喫し、カブスは10回裏に1点を返されたが、108年ぶりにワールドシリーズを制した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事