ソロ温泉（ひとりでの温泉旅）では、同行者に気を遣う必要もないので、自分好みの宿に宿泊できる。ひとりだから予算を安く済ませたい人という人も多いだろう。

そこで、有力な選択肢となるのが湯治向けの宿がある温泉地である。

サービスや設備は期待できないが、良質な温泉をもち、宿泊費も１泊数千円とリーズナブルに抑えられる。

今回は安価で湯治のできる温泉地を紹介しよう（ただし、自炊施設のある昔ながらの湯治宿にかぎらず、安価で泊まれる宿も対象とする）。

別府温泉郷（大分県）

「温泉のテーマパーク」ともいえるほど多彩な入浴施設がそろう別府は、街全体が温泉街。ホテル、旅館、湯治宿など宿泊施設が約400軒にのぼる。特に温泉情緒があるのは、湯煙が立ち上る景観が美しい鉄輪温泉。リーズナブルに長期滞在するなら、鉄輪温泉に多数存在する湯治宿が第一候補となる。

花巻南温泉郷（岩手県）

花巻南温泉郷は、豊沢川沿いに湧く８つの温泉地の総称。その一角を占める大沢温泉と鉛温泉には湯治棟がある。特に大沢温泉の自炊部「湯治屋」は、ひとり利用でも3200円～の格安料金で湯治を体験できる。館内には食事処や売店もあり、湯治初心者も安心。湯船も複数あるので、敷地内で湯めぐりを楽しめる。

鳴子温泉郷（宮城県）

鳴子温泉郷は、鳴子を中心に東鳴子、川渡、中山平、鬼首の５つの温泉地で構成される。最もにぎやかなのは鳴子温泉で、湯の街情緒もある一方、東鳴子や川渡は湯治場の素朴な風情が魅力。鳴子温泉郷には湯治宿が数多く健在で、数千円で宿泊できる湯治宿が多数存在する。

肘折温泉（山形県）

山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。長期の湯治客が多いのも特徴で、素朴な湯治宿も多数。日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。湯治気分を味わいたい人には第一候補となる温泉地である。

野沢温泉（長野県）

標高600ｍに位置する情緒あふれる温泉街には、旅館や土産物屋、飲食店などが並び、ちょうどよい街の規模感。正統派の温泉旅館も多いが、安価に滞在するなら素泊まり数千円で、温泉をもたない民宿やペンションなどが狙い目。温泉のない宿でも、外湯が13カ所あるので困ることはない。