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ウクライナ軍、サーマルイメージカメラ搭載ドローンで日没後に"温かくなっている地雷"を上空から検知

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年8月に米国のメディアCNNは、ウクライナ軍が上空からサーマルイメージカメラ搭載のドローンでロシア軍が大量に敷設した地雷を検知する様子を報道していた。

日が落ちて涼しくなり暗くなると、ウクライナ兵がサーマルイメージカメラ搭載のドローンを飛ばしてモニターを監視している。そうすると、昼間の間に太陽に照りつけられて温かくなっている地雷が上空からサーマルイメージカメラで撮影すると白く光って見える。その白く光っている場所にある地雷を爆破して除去している。モニターには地面一面に地雷が真っ白な点で映っている様子がうかがえる。地雷の敷設されていない場所は暗くなっており、白く光っている地雷の場所が目立っている。まさに地雷原である。

▼ドローンによる地雷検知の報道

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍は大量の対人地雷、戦車用の地雷をウクライナの最前線に設置している。ロシアは対人地雷の使用、生産、移譲などを禁止しているオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に加盟していない。

ウクライナ政府やウクライナ軍は欧米諸国が軍事支援で提供してくれたり、ウクライナの農民自らが独自に開発したりした地雷除去用の無人車などで地雷原で地雷の除去をしてきた。しかし地雷除去車は足りていないので、多くは人間の兵士や政府職員などが除去を行っている。

そして多くのウクライナ兵や一般市民が対人地雷や対戦車地雷の犠牲になっている。地雷では殺害されることはほとんどないが、手足が吹っ飛んでしまう。また小型のおもちゃのようにも見える対人地雷は子供や一般市民が拾ってしまい、爆発したら手足が吹っ飛んでしまう大けがをすることになる。地雷は一度埋められてしまうと、除去されない限り残っていて、人間が触れてしまうと爆発してしまう。

地雷の他にも不発弾や、迎撃されたが上空で爆発しないで墜落した「爆弾を搭載した神風ドローン」なども地上に散乱しており、それらも何も知らずに踏んだり触ったりしてしまうと爆発する危険性がある。対戦車地雷は戦車を撃破することを目的にしているので破壊力も強い。人間が対戦車地雷と知らずに触ってしまったら大爆発して死亡する可能性が高い。

そしてロシア軍はウクライナに侵攻してから勝手に対人地雷、対戦車地雷を敷設しており、ウクライナ政府職員やウクライナ軍の兵士が地雷を検知したら丁寧に爆破して除去している。人間の兵士が地雷を検知して除去するのは大変な作業で時間もかかるうえに危険を伴っている。

対戦車地雷のように道路に置いてあり、上空からも目立って見える地雷はドローンで見つけてドローンから爆弾や手榴弾を投下して地雷ごと爆破している。だが多くの地雷は今回の動画で紹介されているように草原や茂みなど目立たないところに隠れて大量に敷設されていて、兵士や一般市民らが地雷があることをわからずに触れてしまい爆発している。地雷は勝手に敷設していけば、あとは人間や戦車などが触れて爆破するのを待っているだけである。戦争が終結してからも埋められた地雷は残り続けるので早いうちに検知して除去しておいた方がよい。

▼CNNの報道(1:25-3:30あたりがドローンによる地雷検知の報道)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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