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旭川初雪も今週は記録的な暖かさの北海道

饒村曜気象予報士
冬型の気圧配置から移動性高気圧に覆われる日本列島(10月22日15時)

この時季としては強い寒気

 令和5年10月21日〜22日は、北海道上空約5500メートルで氷点下30度以下の寒気が流入してきました。

 上空約5500メートルの気温は、寒気の強さを示す指標の一つになっており、氷点下30度は、平地でも雪が降る目安の温度です。

 事実、10月21日の旭川では、19時38分から22時35分の間で、合計16分間、霙(みぞれ)が降っています。

 霙は、雪に分類されますので、旭川では今冬の初雪を観測したことになります。

 旭川の初雪は、平年より2日遅いものの、平地での全国初の観測です。

 10月22日は、東シナ海の移動性高気圧に覆われ、北日本の西高東低の冬型の気圧配置も緩みました(タイトル画像)。

 北陸~北日本の日本海側を中心にくもりや雨で降りますが、その他の地域は概ね晴れたのですが、全国で一番気温が高かったのは、沖縄県・盛山の29.1度で、最高気温が30度以上という真夏日を観測した地点はありませんでした。

 また、最高気温が25度以上という夏日も、32地点(気温を観測している全国914地点の約4パーセント)となっています(図1)。

図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~10月22日)
図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~10月22日)

 一方、最低気温が氷点下(0度未満)となる冬日を観測したのが63地点(約7パーセント)と、今冬初めて冬日が夏日を上回りました。

 さらに、青森県・八甲田山や岩木山、宮城県・蔵王山、山形県・月山、福島県・吾妻山など、北海道だけでなく東北の山でも初冠雪を観測するなど、冬の便りが相次いでいます(表)。

表 初冠雪の「平年」と「令和5~6年(2023~2024年)寒候年」
表 初冠雪の「平年」と「令和5~6年(2023~2024年)寒候年」

 記録的な暑さと、長い残暑の今年ですが、初冠雪を観測した22座のうち14座が平年より早い観測であり、初冠雪からみると、冬が早く来たということもできます。

 ただ、今回の寒気南下も一時的で、今週は、再び暖かくなる見込みです。

北日本中心の高温

 今週は全国的に晴れているところに暖気が入って気温が高くなる予報ですが、この気温の高さは、特に北日本で顕著です(図2)。

図2 各地の10日先までの天気予報(10月23日~29日は気象庁、10月30日~11月1日はウェザーマップの予報で、数字は最高気温)
図2 各地の10日先までの天気予報(10月23日~29日は気象庁、10月30日~11月1日はウェザーマップの予報で、数字は最高気温)

 北日本と北陸では、2週連続で週末に雨が降って気温が低くなり、その後は、前の週に比べて、晴れても気温が一段と低くなるという周期変化をする見込みです。

 東日本の太平洋側から西日本、沖縄は、月末まで晴れの天気が続く見込みです。

 ただ、晴れて気温が上昇しても、九州南部や沖縄以外は夏日にもならないという予報ですので、さすがに季節が冬に向かって進んできたと言えそうです。

 そして、北海道にとっては、今の時期に20度近い最高気温ということは平年よりかなり高い気温ということを意味します(図3)。

図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(10月23~29日は気象庁、10月30日〜11月7日はウェザーマップの予報)
図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(10月23~29日は気象庁、10月30日〜11月7日はウェザーマップの予報)

 札幌の最低気温も、平年よりかなり高い日が続く予報ですが、今年の札幌の最低気温は、平年の最高気温という記録的な暑さです。

 今週は、全国的に湿度が低い秋晴れの日が続く予報ですので、何をするにしても秋を満喫する一週間となりそうです。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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