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ソトが記録した「異なる3チームでシーズン30本塁打」はどれくらい珍しいのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト/捕手はカーソン・ケリー Aug 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ホアン・ソト(ニューヨーク・ヤンキース)は、ここまでに30本塁打を記録している。8月11日に、29本目と30本目のホームランを打った。

 ソトは、今シーズンがメジャーリーグ7年目。現在の年齢は25歳だ。シーズン30本塁打以上は3度目。その前の2度は、2019年にワシントン・ナショナルズで34本塁打と、2023年にサンディエゴ・パドレスで35本塁打を記録した。

 オプタ・スタッツによると、26歳の誕生日を迎える前に、異なる3チームでシーズン30本塁打以上は、メジャーリーグ史上初だという。

 異なる3チームでシーズン30本塁打以上は、見落としがなければ、ソトが30人目だ。そのうちの5人は、4チーム以上。フレッド・マグリフゲリー・シェフィールドは、シーズン30本塁打以上を5チームで記録した。ホゼ・カンセコアルフォンソ・ソリアーノネルソン・クルーズは、4チームだ。「ギターを抱いた渡り鳥」ならぬ、「バットを抱いた渡り鳥」と呼んでもいいかもしれない。

 現役選手では、ソトの他に、J.D.マルティネス(ニューヨーク・メッツ)が3チームでシーズン30本塁打以上だ。2015年にデトロイト・タイガースで38本塁打、2018年と2019年にボストン・レッドソックスで43本塁打と36本塁打、2023年にロサンゼルス・ドジャースで33本塁打を記録した。2017年の45本塁打は、タイガースで16本とアリゾナ・ダイヤモンドバックスで29本なので、ここには含めていない。ダイヤモンドバックス移籍後のホームランがあと1本多ければ、4チームでシーズン30本塁打以上――タイガース、ダイヤモンドバックス、レッドソックス、ドジャースの順に――と数えるところだ。

 また、トニー・バティスタは、2000年にトロント・ブルージェイズで41本塁打、2002年にボルティモア・オリオールズで31本塁打、2004年にモントリオール・エクスポズ(現ナショナルズ)で32本塁打を記録した。なお、1999年の31本塁打は、ダイヤモンドバックスで5本とブルージェイズで26本だ。

 カナダが本拠の2チーム、ブルージェイズとエクスポズのどちらでもシーズン30本塁打以上は、バティスタしかいない。ちなみに、福岡ソフトバンク・ホークスでプレーした2005年は、30本塁打に3本届かなかった。

 ソトは、シーズンが終わるまでにヤンキースと延長契約を交わさない限り、オフにFAとなる。ヤンキースに戻ることはあっても、ナショナルズとパドレスはなさそうだ。4チーム目でプレーすれば、そこでも、1シーズンに30本以上のホームランを打つ可能性は低くない。さらに、異なる5チームでシーズン30本塁打以上もあり得る。仮に、2025~34年の10年契約を手にした場合、2035年の年齢は36歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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