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死亡当日スカッグス氏に薬物提供したのはマット・ハービーだった?!薬物使用疑惑で更なる実名公表も

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2019年に不慮の死を遂げたタイラー・スカッグス投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【故スカッグス氏の死因を解明する裁判がスタート】

 2019年7月に、当時エンジェルスの投手だったタイラー・スカッグス氏が、遠征先のホテルで死亡した事件は、大谷翔平選手の同僚の不運な死として日本でも大きく報じられた。

 そのスカッグス氏の死因を解明すべく、同氏が亡くなったテキサス州の連邦裁判所で審議がスタートしたのだが、いきなり予想外の展開を迎えようとしている。

 今回の裁判では、彼の死因とされる薬物を提供した人物であり、当時エンジェルスの広報部長を務めていたエリック・ケイ氏の容疑が審議されることになっているのだが、審議開始にあたりケイ氏の弁護士から、新たな薬物提供者としてマット・ハービー投手の名前が挙げられたたという。

 ESPNで薬物や法廷関連を担当しているTJ・クイン記者が、SNSを通じて報告している。

 ハービー投手は事前に検察官から法廷に提出された証人リストの中に名前が含まれており、クイン記者によれば、今週中にも証人として出廷することになりそうだ。

【死亡当日に薬物を与えたのはハービー投手?】

 これまで検察官の取り調べを経て、ケイ氏は2017年から2019年にかけ、麻薬効果の高い鎮痛剤オキシドンを入手しては、スカッグス氏の他複数人に提供したとされている。

 解剖結果からスカッグス氏の死因も、アルコール及びオキシドン、フェンタニル(オキシドンと同様の鎮痛剤)の同時服用で起こった中毒性の嘔吐で窒息死したとされており、ケイ氏には死因に繋がったオキシドンを提供した容疑がかけられている。

 だがESPNの報道によれば、ケイ氏はスカッグス氏とともに定期的にオキシドンを服用としていたことを認める一方で、彼が死亡した当日はオキシドンを渡していないと証言している。

 これを受けケイ氏の弁護士は審議開始に合わせ、ケイ氏の「死亡した日の夜にスカッグス氏に『その薬をどこで手に入れたのか?』と尋ねたら、『これはハービーからもらったパーコセット(オキシドンと同様の鎮痛剤)だ』と答えた」という証言を紹介し、当日の薬物提供者としてハービー投手の可能性を指摘したというのだ。

【ハービー投手以外に6選手が目撃者リストに】

 今回の裁判が注目されているのは、ハービー投手以外にも当時エンジェルスでスカッグス氏の同僚だったアンドリュー・ヒーニー投手、ギャレット・リチャーズ投手、CJ・クロン選手、ブレイク・パーカー投手、カム・ベドロジアン投手、マイク・モリン投手──の6選手が証人リストに含まれていることだ。

 さらにクイン記者によれば、検察官はケイ氏がスカッグス氏の他にオキシドンを提供した人物にエンジェルスの選手が含まれていることを確認できているようで、彼らの実名が法廷で明らかになる可能性もあるのだ。

 現時点でハービー投手の出廷は確実なようだが、審議の展開次第では他の選手たちも証言台に立たなければならなくなるだろう。

 まずはハービー投手がどんな証言をするのかに注目が集まるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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