プロバスケなのに「身長2m以上の選手はダメ」ルールは韓国KBLにどう影響するか
日本ではBリーグの3季目のシーズンが10月4日に開幕して関心を集めているが、韓国では10月13日にプロバスケットリーグ(KBL)が開幕した。
KBLは昨季の平均観客数が2796人を記録。1997-1998シーズン以来初めて3000人を切るなど、近年は人気が低迷している。
電子ランドエレファンツの“世界一かわいいチアリーダー”とも称されるイ・ジュヒをはじめ、人気チアリーダーたちは話題になるが、観客数は2014-2015シーズン以降、右肩下がりなのだ。
日本の漫画『スラムダンク』の人気も影響して90年代前半からバスケ人気が高まり、1997年に誕生したKBLだが、最近は「存続の危機に立たされている」と報じられることも珍しくない状況だ。
(参考記事:『スラムダンク』は今でも人気で『キャプテン翼』は拒絶されたワケ)
そんななか、韓国プロバスケ連盟は今シーズンから平日のゲームの試合開始時間を19時から19時30分に遅らせるなど人気回復に乗り出しているが、個人的に気になるのは、今季から実施される新ルールがプロバスケ人気に及ぼす影響だ。
その新ルールとは、外国人選手の身長を200cm以下に制限するというもの。
これまでは各チームの外国人選手2人のうち1人は193cm以下という制限を実施していたが、今季からはさらに規定を厳格化されたのだ。
(参考記事:身長2m以上の外国人選手はダメ!! 韓国プロバスケの理不尽すぎる新ルールとは?)
今年3月にKBLの理事会でこの規定変更が確定したルールだが、昨シーズン終了直後の4月には、登録されている身長が200cmを超える外国人選手たちの要求を受けて身長の再測定も行われていた。
例えば、昨季リーグ得点王に輝いたデビット・サイモン(KBC人参公社)は、再測定の結果202.1cmと測定されている。かつて「韓国で引退したい」と韓国メディアに話していた選手だが、身長が2cmオーバーしたために韓国を去ることになってしまった。
KBLではこれまでも外国人選手が突然の解雇を受けたことなどもあったが、規定変更によって自らの意志とは関係なく韓国を去ることになった選手たちには同情の声も上がっている。
(参考記事:国歌斉唱中にストレッチをした外国人バスケ選手が突然の解雇…なぜ?)
一方、再測定で“救済”された選手もいた。ソウルSKナイツの昨季優勝を牽引したジェームス・メイズは、199.9cmと測定され規定を通過(登録されていた身長は200.6cm)。「“0.1cm”の差、優勝に笑い、背が低くてまた笑った」(『ノーカットニュース』)などとメディアで取り上げられた。
そんな身長の再測定も話題になった“200cm以上禁止”の新ルール。この規定変更には発表当初から「競争力が下がる」「人気のある外国人選手を見られなくなる」といった批判の声も上がっていただけに、プロバスケ人気にも影響を及ぼすことは間違いないだろう。
ただ、この身長制限と合わせて、外国人選手と各チームの契約に関する規定も変更されている。
既存の規定ではドラフトを経て外国人選手と契約を結ばなければならなかったが、今季からは各チームが自由に契約を交わせるようになったのだ。
注目したいのは、この“自由契約”制度によって、新たにKBLに参戦する外国人選手が増えたことだろう。
KBLは外国人選手の残留率が高く、昨季も10チーム中7チームが、海外から外国人選手を呼び寄せるのではなく既存のKBL選手を入れ替えていたが、各チームが自由に外国人選手と契約を結べるようになった今季は、新たに15人の外国人選手がKBLに参戦することになった。
KBLの外国人選手の年俸が各チーム2人合わせて70万ドル(約7900万円)に制限されているなか、新たにKBL参戦した有名選手といえばNBAのシカゴ・ブルズなどでプレーしたカーティス・ティーグ(全州KCCイージス)ぐらいだが、いずれにしても新外国人選手たちのKBL参戦によって、リーグに新たな風が吹くことが期待されている。
身長制限によって韓国を去ることになった外国人選手もいれば、自由契約で新たに韓国に参戦した外国人選手もいるKBL。
「外国人選手の華やかなプレーがKBLを盛り上げてきた」「試合の勝敗は外国人選手で決まる」と韓国メディアが伝えてきたように、KBLにおける外国人選手の役割は大きいが、こうした変化が存続の危機に立たされているというプロバスケ人気にどのような影響を及ぼすか、注目したい。