ミス慶應問題を商標登録で解決できるか?
「2つの"慶應ミスコン"が対立、内容証明も飛ぶ異常事態」というニュースがありました。「女性アナウンサーの登竜門として知られる慶應義塾大の"ミス慶應コンテスト"で、トラブルが起きている。同名義のコンテストが2つの団体により開催され、お互い弁護士を立てて正当性を主張している。」ということです。
ミスコンやるのに免許がいるわけではないですし、「ミス慶應」というブランドには相当な金銭的価値がありますので、このような事態になってもおかしくありません。両団体を混同して応募した人もいるとのことです。
「ミス慶應」を商標登録することでこのような問題を解決できないでしょうか?そもそも「ミス慶應」は商標登録可能なのでしょうか?
最近の特許情報プラットフォームの機能拡張により(パフォーマンスの問題はさておき)拒絶が確定した商標登録出願の記録も見られるようになりましたので、こういう時に調べやすくなりました(今までは拒絶後一定期間で記録が抹消され、抹消された記録を調べるためには民間の有料サービスが必要でした)。
調べると「ミス慶応」(慶應ではありません)は、2016年10月に出願され、拒絶が確定しています。拒絶理由には類似先登録も挙げられていますが、主な理由は「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」と思われます。おそらく、慶応義塾以外の組織が「ミス慶応」または「ミス慶應」の商標権を得ることは不可能でしょう(そして、慶應義塾自身が出願する可能性はまずないでしょう)。
ところで「ミス慶応」の出願人である知財防衛株式会社は、同時期に「ミス早稲田」、「ミス東大」等、同じパターンの出願を7件行ない全部拒絶になっています。同社は、これ以外にも様々な商標を出願しまくっているようです(ただし、ちゃんと出願手数料は払っています)。
余談ついでに、早慶がらみの商標登録について調べてみると、予備校の「早稲田ゼミナール」が登録されている一方で、同時期に出願された「慶応ゼミナール」は、慶應大学自身が異議申立したことにより取消となっています。慶應の方が早稲田よりもブランド管理にうるさいということなのかもしれません。