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新聞一番61.8%、テレビが二番で61.1%…メディアへの信頼度の実情

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
今なお新聞はもっとも信頼されるメディア(写真:アフロ)

新聞、ラジオ、インターネットのようなメディア単位での信頼度が、発信情報の内容の真偽を精査する際に参照されることがある。今回はメディア単位での区切りにおける発信情報の信頼度について、総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、その実情を探ることにする

今件項目では主要メディア、具体的にはテレビ、新聞、インターネット、雑誌を挙げ、それぞれについて信頼度の観点で「全部信頼できる」「大部分信頼できる」「半々ぐらい」「一部しか信頼できない」「まったく信頼できない」の5選択肢の中から1つを選んでもらい、そのうち前者2つの合計、つまり信頼できる派の値を信頼度として提示している。次のグラフはその結果を年齢階層別に連ねたもの。全体では新聞への信頼度が61.8%、テレビが61.1%と、高い信頼が寄せられている。

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2022年)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2022年)

10代は学生の回答者が多分にいることから(社会にもまれて色々な情報の実情に触れる機会がまだ得られていない)新聞とテレビ、特にテレビの値が高いが、20代になると大きく減少。30代以上では新聞をより信頼する形で高い値を示す傾向がある。インターネットは年齢による差異はあまりなく、雑誌は20代がピークでそれ以降はおおよそ年齢とともに下落。そして両者ともテレビや新聞にははるかにおよばない。信頼度の観点で、テレビと新聞の2大従来メディアにおける「権威」が今なお絶大なものであることがうかがえる。

インターネットへの信頼度の低さの理由は大きく2つ挙げられる。1つはインターネットそのものを利用していない層が一定数いるため。利用している・していないで大きな差異が生じている。

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」、インターネット利用状態別)(2022年)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」、インターネット利用状態別)(2022年)

信頼できないからこそインターネットを利用していない可能性は多分にあるが、利用者と非利用者との間ではこれほどまでの大きな差異が確認できる。インターネット非利用者ではインターネットを信頼できる人は一人もいない。

またインターネットの信頼度の詳細においては、ニュースサイトはそれなりに高いものの、「ソーシャルメディア」「動画配信、動画共有サイト」「ブログ、その他のサイト」などではそもそもそのルートでニュースを取得していない人が多いのに加え、取得している人でも信頼性の低さが露呈しており、これがインターネット全体の値を大きく下げている。

↑ 情報源毎の情報信頼度(政治・経済問題(国内)、インターネット関連)(2022年)
↑ 情報源毎の情報信頼度(政治・経済問題(国内)、インターネット関連)(2022年)

全体では高めのテレビや新聞同様、インターネットでも対象となる場所により、信頼度は大きく異なっている。新聞もテレビもインターネットも、いずれにせよ単なる情報伝達手段に過ぎない、結局は各発信元単位の信頼性の問題と考えれば、道理は通る。

テレビ、新聞、インターネット、雑誌。いずれもメディアには違いないが、テレビや新聞、雑誌がほぼ同時に配信する情報を収集し編集する業界をも意味しているのに対し、インターネットは多分にインフラそのものを意味し、厳密にはテレビや新聞などとの比較は難しい。

テレビでは個人や少数グループによる配信が不可能、新聞も事実上不可能に近く、雑誌は同人誌などで可能なものの、今件のような調査の際には対象とはされていない。今件のような調査で新聞や雑誌が掲げられた際に、学級新聞や団体の機関紙、同人誌を合わせてイメージする人はいない。一方インターネットは個人や特定少数の集団による情報配信も可能で、さらにテレビや新聞、雑誌などの他メディアもその情報を置換した上でインターネット上に配信している。それらをすべてあわせた上で、「インターネット」の選択肢を選んでいるのが実情。

この点を考慮した上で、各種メディアの信頼度は読み解く必要があることを付け加えておかねばなるまい。

■関連記事:

【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度(2017-2020年)(最新)】

【信頼を失いつつある米新聞やテレビニュース】

※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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